国産はどれくらい? 25歳男性の食生活、記者が追った
帰宅前に買い物
食料自給率が4割に満たない日本だが、多忙な人の食生活は、自給率がもっと低いかもしれない。加工食品や弁当、外食など、簡便な食に国産の農畜産物がどれほど使われているか、記者が調べた。 【表で見る】阿部さんの1週間の食事 東京都葛飾区に住む阿部陸さんは、不動産会社で営業職として働く25歳。契約が重なる繁忙期には午前8時から午後8時まで働く。そんな若者の食生活を追ってみた。 仕事終わりの平日夜に行くというスーパーの買い物に同行した。入ってすぐの青果売り場は素通りし、最初に手に取ったのは国産大豆の納豆。豆の食感が楽しめる大粒のものが好みで、国産へのこだわりはないという。「夜は好きなもの、お酒に合うものを食べています」と阿部さん。ポテトチップスとカキフライ弁当を買った。 続いて朝食用に野菜ジュースとヨーグルト、フランスパンを籠に入れた。「野菜不足だと思っているので、野菜ジュースを飲みます」と健康も気にする。さらに冷凍の担々麺、アイスクリームを籠に入れ、レジに向かった。 自炊はほとんどしない。この日の買い物もすぐに食べられる加工品で、野菜や肉などの食材はなかった。
産地を見ると…
購入した食品の主原料の産地を包材の表示などで確認したところ、9品のうち、国産は、納豆とヨーグルト原料の生乳など3品だった。外国産とみられるのが、パンや麺の原料小麦。ポテチ原料のジャガイモは「国産または米国産」、アイスクリームは「乳製品(国内製造、外国製造)とあり、産地がはっきり分からないものもある。 阿部さんには取材日までの1週間の食生活も教えてもらった。 時間に追われる朝食はパン、ヨーグルトと野菜ジュースが定番。安いパンをまとめ買いして冷凍しておく。野菜ジュースを選ぶ基準は、栄養価や原料の産地ではなく価格。「節約のため安いものを選ぶ。おのずと外国産でしょうね」。野菜ジュースの表示は、主原料は外国製造(りんご果汁)とある。パン用小麦の国産比率は1割。ヨーグルト原料には、国産生乳以外の乳製品も使われる。 さらに、阿部さんが食べたハンバーガーやサンドイッチなどの食材を調べると、意外な食材に外国産が使われていることが分かった。