巨人“田中将大・ライデルW獲得”決定的のウラで「FAで最近フラれがち」「現守護神の大勢は…配置転換?」成績に見る懸念と大物選手の処遇
浅村、森、近藤…巨人以外を選んだFA勢
後述するが――かつての巨人は、他球団の大物選手を獲得した際の「処遇の仕方」を心得ていた。しかし、今は、そういう文化が失われたような印象だ。 一方で、他球団は必ずしもそうではない。ここ近年のケースを列記しよう。 2018年:浅村栄斗(西武→楽天)、西勇輝(オリックス→阪神) 2019年:美馬学(楽天→ロッテ)、鈴木大地(ロッテ→楽天) 2021年:又吉克樹(中日→ソフトバンク) 2022年:森友哉(西武→オリックス)、伏見寅威(オリックス→日本ハム)、近藤健介(日本ハム→ソフトバンク) 2023年:山﨑福也(オリックス→日本ハム)、山川穂高(西武→ソフトバンク) 彼らのように、FA選手が主力として活躍しているケースは枚挙にいとまがない。そうした現状も踏まえて、巨人へのFA移籍を躊躇する選手が増えたのだろう。プロ野球選手にとっては高額の年俸も大事だが、やはり「活躍の機会」を保証されるのが重要ではないか。
ライデルは現在NPBで「無敵のクローザー」だが
一方で巨人は久々に大物外国人選手をごぼう抜きした。中日のライデル・マルティネスだ。キューバの国内リーグから中日に育成選手として派遣されたライデルは、1年遅れて入団した捕手のアリエル・マルティネス(現日本ハム)らとともに日本野球を学び、今や絶対的なクローザーになった。 〈NPBのここ3年間のセーブ数5傑〉 マルティネス(中)164試9勝7敗 114S21H 160.1回 率0.84 栗林良吏(広)163試3勝15敗 87S33H 155.2回 率2.14 益田直也(ロ)154試4勝11敗 86S27H 147回 率3.24 岩崎優(神)177試8勝13敗 86S40H 168.1回 率1.98 大勢(巨)127試5勝5敗 80S14H 124回 率2.18 ライデルは唯一100セーブをクリアし、防御率も0点台と圧倒的。まさに「無敵のクローザー」ではある。
クローザー大勢の配置転換は懸念材料か
しかしながらこのランキングの5位には、移籍先となる巨人・大勢の名前がある。 大勢(翁田大勢)は、関西国際大から2021年ドラフト1位で巨人入り。巨人では珍しい「生え抜きクローザー」として、故障を乗り越え実績を積み上げてきた。ライデルの巨人移籍によって、大勢はセットアッパーに「配置転換」されるものと思われる。 同じ救援投手でもセットアッパーとクローザーは待機の仕方が大きく異なる。ブルペンがグラウンド内に設けられた球場では、投手の調整を見ることができるが、セットアッパーなど中継ぎ選手は5回を過ぎるとキャッチボールをするなど、状況に合わせて体を動かしている。点差が開けば、セットアッパーは「上がり」になるが、試合展開によって流動的だ。 しかしクローザーは点差が接近している7回くらいにブルペンに顔を出し、投げ込むのは8回になってからだ。つまり調整の仕方も、メンタルの持ち方も大きく異なる。 3年間、クローザーとして活躍し、WBCやプレミア12にも選出され「日本を代表するクローザー」になりつつあった大勢の配置転換は、実に惜しい。ポジション被りをいとわない補強は、巨人の伝統ではあるが、これも懸念材料ではある。