メルセデス・ベンツEQS 詳細データテスト 望外の操縦性 SUVよりMPV的 シートの操作に不満
走り ★★★★★★★★☆☆
EQS SUVは、大きくて重い高級車であり、パフォーマンスカーというわけではないが、360psの450でも十分速いし、その上には0-100km/hが4.6秒という580も控えている。 テストコースでは、公称値の6秒フラットよりコンマ1秒早く100km/hに到達し、最高速度の210km/hまで苦もなく加速する。そこに、ドラマティックな演出はない。BMWのような、宇宙船を思わせるサウンドが鳴るようなことは皆無だ。 回生ブレーキの操作は、メルセデスのEVに共通するもの。ステアリングホイールに据え付けられたパドルで、コースティング/スタンダード/強め/アダプティブモードの順番で選択する。アダプティブモードでは、ワンペダル運転も可能だ。 ブレーキペダルを使うと、電動メルセデスの慢性的な弱点に見舞われる。ペダルフィールの問題だ。ペダルトラベルのうち最初のパートは回生ブレーキのコントロールで、非常に軽く、回生ブレーキのモードによって踏み応えが一定しない。対照的に、摩擦ブレーキで減速しようとすると強い踏力が必要で、この重い車体を素早く減速させなくてはならないときに、自信を持った操作ができない。 制動性能そのものに問題はなく、制御が効いた止まり方をする。とはいえ、サスペンションがソフトなのでピッチは激しい。
使い勝手 ★★★★★★★★☆☆
■インフォテインメント この世代のMBUXインターフェイスは、すでにほかのクルマで何度か扱ったことがある。多少の慣れは必要だが、全体的に機能性は上々で、反応は早く、グラフィックは鮮明。メニューは入念にレイアウトされ、重要な機能を深い階層に埋めてはいない。スマートフォンのミラーリングはうまく統合できており、コネクテッドナビは渋滞に遭遇すると最新情報へ適切に更新する。 英国仕様は全車ハイパースクリーンを装備し、助手席前にもディスプレイが設置される。このディスプレイは、助手席が重量を検知しないと操作できず、またドライバーがこの画面を見ていることを車内カメラが検知すると、表示が自動的に暗くなる。 テスト車は、さらに後席側にも3つのディスプレイを設置。テレビやビデオを観ることはできるが、主なストリーミングサービスはインストールされていないし、セッティングは簡単とは言えない。子どもにビデオを見せるような場合は、タブレットを用意するほうが楽だ。 ■燈火類 マトリックスLEDヘッドライトは標準装備。片側あたり130万のミラーできわめて精密にライトをコントロールする。よくできたライトだが、対向車から眩しさを訴えるパッシングを受けることがいまだにある。 ■ステアリングとペダル ペダル配置は普通だが、ステアリングホイールとメーターパネルがシートに対してかなり高く配置されている。