乗鞍スキー場の営業断念 地元有志が存続へ資金集め 長野県松本市
長野県松本市安曇の乗鞍高原にあるスキー場「Mt.乗鞍スノーリゾート」が、利用客の減少などから経営継続が困難となり、今季の営業を断念することが分かった。運営会社のブルーリゾート乗鞍(松本市安曇)は今後、スキー場の譲渡や売却を検討するとした。60年以上の歴史を持つスキー場の存続が危ぶまれる事態となり、観光への影響を懸念する地元有志が資金集めなど存続に向けた支援活動を始めた。 運営会社によると、新型コロナウイルス感染症拡大の影響や近年の雪不足で利用者が減少。コロナ禍前はシーズン6~7万人ほどで推移していたが、近年は4万人台まで落ち込んでいた。昨シーズンも雪不足の影響で約4万人にとどまった。 運営会社は4日、地元住民への説明会を開き、今季の営業断念を報告した。乗鞍スノーリゾートの佐藤聡乃武支配人(45)は市民タイムスの取材に「何とか営業を続けてきたが経営が非常に厳しく、心苦しいが営業を続けることは難しい状況」と説明する。 報告を受けたのりくら観光協会の宮下了一会長(64)は「冬季に乗鞍高原を訪れる人のほとんどがスキー客で、観光はスキー場に依存してきた。地元住民の働き口になっている宿泊施設や飲食店も厳しい状況になる」と危機感を示す。地元有志と支援活動を始め、スキー場が今季営業するのに必要な5500万円を目標に支援金を募る。 スキー場は当初は地元の乗鞍観光が運営していたが、平成23(2011)年に債務超過で経営を断念。民間企業が運営を引き継ぎ、平成30(2018)年からブルーリゾート乗鞍が運営していた。 臥雲義尚市長は16日の定例記者会見で「スキー場の閉鎖が乗鞍地区に及ぼす影響が非常に大きなものになることは承知している」とし、「民間企業の負債の穴埋めを市がすることは困難だが、市としてできることは協力したい」と述べた。
市民タイムス