珍品!? 熱帯地域用に開発されたUS NAVYのフライトジャケットM421A
常に独自の視点で独自の音楽を生み出していくDJとして世界中で活躍する田中知之(FPM)さん。音楽のみならずファッション、時計、クルマ、グルメとオールジャンルでの博覧強記を駆使した田中流「男の定番」をご紹介する連載です。 田中知之(FPM)の「DJ目線で指南するちょいウラな定番」
世界を舞台に活躍するDJ田中知之(FPM)さんが自らの美意識に叶った「男の定番」をご紹介する連載。今回のテーマは……。
■ US NAVYのサマーフライトジャケットM421A
今回紹介するのは、1940年初頭にアメリカ海軍の航空部隊で採用された夏用のフライトジャケット M421A。私は2010年頃にロサンゼルスで購入したように記憶する。例えばMA-1やA-2など冬用のフライトジャケットと比べても極端に球数が少なく、たまに古着屋で見かけても随分とくたびれたり縮んでしまった個体が多い印象だが、右胸に砲弾を抱いた半人半獣の悪魔がコミカルに刺繍されたパッチが付属するこの一着は、水を通った形跡もなくきれいだった。
【Front Side】
ちょうどその数年前の2005年にヴィンテージ服飾研究家の青田充弘氏が『FULL GEAR(COLLECTOR'S GUIDE ON US MILITARY FLYING CLOTHING FROM 1920'S THRU 1970'S)』と題したハードカバー168ページのアメリカの空の軍隊に特化したミリタリーウエアをデータベース化した恐ろしくニッチな本を自費出版されていた。定価は2万円と高価だったが、この夏用フライトジャケットのことも調べてみたくなり、帰国後に即入手して、早速M421Aのページを開いてみた。
【Back Side】
主に輸送機・偵察機などの搭乗員に支給されたらしく、夏季の熱帯地域での使用を目的として開発されたようで、素材はコットンツイル。POPULAR MFG.COにより製造された420Aというコントラクト番号をもつこの個体は、1943年に納入されたとある。着丈は少し短めだが、軍物感は希薄で、まるでスイングトップの様に普通に街で着用しても違和感がない。