国立印刷局「工芸官」の職人技……新紙幣に込められた150年受け継ぐ“超絶技巧”とは『every.16時特集』
■受け継がれる“手作業”の理由
こうした技術は、明治時代から約150年もの間、受け継がれてきました。 デジタルなどの技術が進歩する中、なぜ手作業にこだわるのか?そこにはこんな理由が… 紙幣の彫刻を担当 工芸官 「(工芸官)それぞれの個性が絵柄に表れてきます。そしてその個性というのは、もう一回作ろうとか、複製しようとか、本人でさえ難しいものがあります。そこに偽造防止技術としての役割があると思います」 工芸官の持つ高度な手彫りの技術が、紙幣の偽造防止にも大きな役割を果たしていたのです。 工芸官 「レジで自分の携わったものたちを使う時がすごくうれしかった。(手に入れた時は)来た!と。喜びがすごかったですね」
■紙幣に込められた“超絶技巧”
こうした工芸官の技術を、次の世代に継承する取り組みも。2年前から始まったのは、全国の美術系の大学で工芸官たちが彫刻技術を教える「特別講義」です。 工芸官 「最初は(板と)平行くらいですーっと(線を)引いてあげる。削りかすが見えるか見えないかくらい」 普段、版画の彫刻に取り組む学生たちも、紙幣に込められた“超絶技巧”を実感。 参加した学生 「(お札の)あの小さな平面の世界に、技術がこれでもかというくらい詰まっているなと」
■若手工芸官の「一番特別なもの」
さらに工芸官たちの中にも、“次の紙幣”を担当するかもしれない若手が育ってきています。話を聞いたのは、入局5年目の女性工芸官。先輩の指導を受けながら、日々腕を磨いています。 工芸官 「上手なんですよ、ホントに」 若手工芸官 「いつも褒めてもらって…褒められて、伸びています」 工芸官が携わる製品の中でも、紙幣は「一番特別なもの」だと感じているといいます。 若手工芸官 「先輩方がいるうちに、私も同じように(将来)お札に携わっていく身として、技術を身につけないとなと思っています」 工芸官 「より良いもの、国民の皆様により良いものを使っていただけるように、日々努力してほしいなと」 およそ20年後にあるかもしれない、“次の紙幣”の発行。 記者 「次、20年後(かもしれない)ですけど、やりたいという思いは…?」 若手工芸官 「もちろん、やりたいと思っています」 次の紙幣に向けて。工芸官たちの技術は受け継がれ、進化していきます。 (11月7日『news every.』16時特集より)