【解説】銅線ケーブル“悪質買取”横行…背景にある「法の抜け穴」とは?不法滞在の“外国人G”による窃盗被害1億円超か【2024年重大ニュース】
逮捕に踏み切れた理由とは?
なぜ、今回は逮捕にまで踏み切ることができたのか。 捜査関係者によると、「祥瑞」では、4月に他県警がすでに家宅捜索に入っていて、警察から注意を受けていた。それにも関わらず、翌月には盗品の買い取りを再開していた実態が確認されていた。 また、ウェイチェークー被告らのタイ人グループが、「買取業者側も盗品の認識があった」「自分たちと同じような外国人グループが客として訪れていた」という供述も決め手となった。 また、通常、工事などで余った銅線を売りに来る人は作業着を着ていたり、作業用のワゴン車で来たりするケースがほとんどだという。 しかし、今回のタイ人グループのような窃盗団は、Tシャツにサンダル、自家用車で訪れるといい、捜査関係者は「極めてラフな格好で売却に来る。その時点で何かしらの違和感があるはずだ」と指摘する。こうした状況証拠を積み重ね、逮捕に踏み切ったという。
「身分証提示」「現金取引廃止」など対策進む
警察が摘発を強化する中、窃盗被害をなくすために対策に乗り出している自治体もある。 千葉県では2024年7月、銅線ケーブルやマンホールの「ふた」などを買い取る業者について、営業を許可制とする条例を制定した。 買取業者は、売り手の住所や名前などの確認を行うことや、取り引きの記録を3年間保管することなどを義務づけた。 千葉県のみでなく、銅線窃盗が相次いでいる茨城県でも同様の条例が制定されている。
現金取引を廃止する業者も…
買取業者側も、盗品を購入しないための取り組みを始めている。 買取業者らで構成されている「非鉄金属リサイクル全国連合会」の福田隆・理事によると、盗品を売却しようとする人は、その場での現金取引を求めるケースが多いという。そのため、現金での取引を廃止し、口座振り込みなどの取引に限定する業者も出てきているという。 福田氏は「盗品を買い取る悪質な買取業者が横行すると業界全体のイメージも悪くなってしまう。自主的に売り手の身元確認を進めるなど、業界全体の襟を正していきたい」と話す。 銅線窃盗の被害は、太陽光発電施設のみではない。 埼玉県・行田市の観光施設でも銅線が盗まれ、トイレや自動販売機が使えなくなったり、群馬県・嬬恋村ではスキー場で銅線が盗まれてリフトが動かせなくなったりするなど、私たちの生活の身近に被害が及んできている。 被害がさらに拡大しないよう、盗品が不正に流通しないために官民一体となった仕組み作りが急務となっている。 【取材・執筆:フジテレビ社会部警視庁クラブ 松崎遥】
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