【解説】銅線ケーブル“悪質買取”横行…背景にある「法の抜け穴」とは?不法滞在の“外国人G”による窃盗被害1億円超か【2024年重大ニュース】
“悪質買取”横行の裏に「法の抜け穴」
こうした金属ケーブル窃盗は、急増している。 警察庁によると、2023年の金属の窃盗被害は全国で1万6276件と、2020年と比較すると3倍近い件数だ。被害金額ベースでは132億円を超えるが、このうち8割が「金属ケーブル」だという。 警察庁の露木康浩長官は5月、太陽光発電施設から銅線窃盗が相次いでいることについて、外国人グループが関与している実態を説明し「不法滞在外国人の収入源になっていることが疑われ、治安上も大きな課題だ」と危機感を募らせた。 こうした窃盗が相次ぐ理由には、近年の金属価格の高騰が挙げられる。 しかし取材を進めると、それだけではなく、犯行グループに「法の穴」をつかれている現状がある、と捜査幹部は指摘する。からくりはこうだ。 いわゆる「中古品」の買い取りについて、「古物営業法」では、買取業者に対して“売り手”の身分証提示など、本人確認をすることが義務付けられている。 しかし、切断されたケーブルは「金属くず」として扱われ、中古品にはあたらないため、「古物営業法」が適用されない。 金属ケーブルの買取業者は「身分証」確認をする必要がないのだ。 そのため、売る側は足がつくことなく、盗品を売却できる。これが、“法の抜け穴”とされる点だ。逆に言えば、買取業者側も「盗品だと知りませんでした」と言い逃れ出来る可能性もある。
「盗品と知らなかった」主張する業者を“異例の摘発”
では、悪質な「盗品ケーブル売買」に警察はお手上げ状態なのか…。 そこに捜査のメスが入ったのは、前述したタイ人窃盗グループの事件だった。 11月、盗品と知りながら銅線ケーブルを違法に買い取った疑いで、前述した事件の買取店「祥瑞」や、茨城県の買取店など計4社に家宅捜索に入り、「祥瑞」社員で中国籍の杜旭被告を逮捕した。 4社にはウェイチェークー被告らタイ人の窃盗グループによって盗まれた銅線ケーブルが100回にわたって持ち込まれ、4600万円で売却されていたという。 正規に持ち込まれる銅線と、盗品の銅線は見た目では大きな違いがなく、買取店側を「盗品としての認識があって取り引きした」と立証するのは、これまでは困難とされてきた。 今回の「祥瑞」も、「盗品と認識はなかった」と供述している。