生理中に腸の調子が悪くなるのはなぜ? 「生理と過敏性腸症候群」の関係
過敏性腸症候群(IBS)と生理のコラボレーションなんて正直誰も望んでいない。 でも、生理中はなぜか腸の調子が悪くなる。下痢や胃酸の逆流など、この時期はただでさえ問題が多いというのに。 【写真】意外とやりがち?生理中に避けたい5つの行動 過敏性腸症候群のような腸の問題を抱えている人は世界で推定10億人。でも、女性(とくに閉経前の女性)は、不公平なほど過敏性腸症候群になりやすい。消化器系疾患の患者をサポートする英国の慈善団体Guts UKによると、女性が過敏性腸症候群になる確率は男性の1.5倍。 一体なぜ? まず、女性は腹部に生殖器用のスペースがある分、男性よりも結腸が約10cm長い。これは妊娠中や授乳中に、必要に応じて栄養を吸収されやすくするための仕組みでもある。また、ホルモンバランスの変化も過敏性腸症候群が女性に多い理由の1つとされている。女性の人生には、ホルモンのせいにしなければならないことが非常に多い。
過敏性腸症候群と生理の関係
「過敏性腸症候群に伴う不快感の主な原因は、月経周期の中でプロゲステロンとエストロゲンが変動することにあると考えられています」と説明するのは、ブレスバイオプシープロバイダOwlstone MedicalおよびOMED Healthの主任トランスレーショナル・サイエンティスト、ナビータ・ナガリンガム博士。 「月経周期を通してプロゲステロンとエストロゲンの量が変化すると、食べものが消化管を通り抜けるのにかかる時間も変化します。その時間が短い(速度が速い)ときは、吐き気、下痢、腹痛といった不快な症状が現れることがあります」 過敏性腸症候群の患者の多くは、生理前後に症状が悪化して、一部の食品に体が反応しやすくなると言う。 ナガリンガム博士によると、その場合は症状を悪化させている食べものが分かるよう、アプリやノートに食事内容を記録しておくといい。 それにしても、過敏性腸症候群の症状と生理の症状が似ていると思うのは気のせい? 「過敏性腸症候群では、おなかの張りや腹痛、下痢や吐き気など、生理中の不快感に似た症状が数多く現れます」とナガリンガム博士。「しかも、消化管と生殖器は両方とも腹部にあるので、過敏性腸症候群の症状と生理痛は体内の同じエリアから発生します。そのため、過敏性腸症候群の症状が生理痛を悪化させているように感じることもあるでしょう」 排卵中もホルモンバランスが大きく変化するので、過敏性腸症候群の症状が悪化する可能性があるけれど、それを裏付けるエビデンスはいまのところ非常に少ない(よって、過敏性腸症候群と生理痛は、いまのところ“ニワトリと卵の関係”にあると言わざるを得ない)。