「介護と仕事の両立は難しい」…は9割以上。親の介護費用は年金・貯蓄だけでカバーできるのか?
親の介護費用は年金・貯蓄だけでカバーできるのか
内閣府の「令和4年 高齢者の健康に関する調査結果」によると「将来、排せつ等の介護が必要な状態になった際の 介護費用のまかない方」として63.8%の人が「年収等の収入でまかなう」と回答しています。 8割以上の人が「年金等の収入」「貯蓄」でまかなうと回答していますが、年金・貯蓄だけで介護費用はカバーできるのでしょうか。 最後に、シニア世代の「年金事情」「貯蓄事情」それぞれを確認していきましょう。 ●シニア世代の「年金平均月額」はいくら? 厚生労働省年金局の「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、国民年金・厚生年金の平均月額は下記の結果となっています。 ・【国民年金】全体平均月額:5万6316円 ・【厚生年金(国民年金を含む)】全体平均月額:14万3973円 上記はあくまで額面の金額であり、ここからさらに税金や社会保険料が天引きされるため、実際に受け取れる金額は少なくなります。 総務省の「家計調査報告 家計収支編 2023年(令和5年)平均結果の概要」によると、単身世帯・夫婦世帯それぞれの生活支出は「約14万円」「約25万円」であることから、平均的な年金収入の場合は生活費だけでもギリギリもしくは赤字になることが予想されます。 ●シニア世代の「平均貯蓄額」はいくら? 金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査」によると、70歳代の平均貯蓄額は夫婦世帯・単身世帯それぞれで下記の結果となりました。 平均値は極端に大きい数値がある場合に偏る傾向にあるため、一般的な貯蓄実態をしりたい方は中央値を参考にすると良いでしょう。 中央値をみると、夫婦・単身世帯ともに1000万円に到達していないことがわかります。 前章で紹介した「介護費用の目安」が約500~600万円のため、貯蓄を全て介護費用として使うのであればギリギリカバーできるかもしれません。 しかし、総務省の「家計調査報告 家計収支編 2023年(令和5年)平均結果の概要」によると、老後生活において夫婦・単身世帯それぞれで毎月「3~4万円」の赤字が発生していることから、生活費の補填にも貯蓄を活用せざるを得ない状況がうかがえます。