大谷翔平の9試合ノーアーチ“プチスランプ”で全米MVP論争が再燃も「最有力」揺るがず
大谷から1位票を奪ったのは、本塁打、打率の2部門でトップに立ち、打点ではぺレスに10点差の4位につけ、三冠王獲得の可能性を残しているゲレーロJr.で、15人が1位票を投じた。同サイトは、「典型的なシーズンであればMVPはゲレーロJr.だろう。だが、彼にとって不運なのは、今年はそうしたシーズン、もしくは典型的なMVP争いとなっていないこと。大谷の前例のないパフォーマンスが若いブルージェイズの強打者を上回ることになりそうだ」と予想した。 CBSスポーツもMVP争いについての記事を掲載した。 こちらも「この記事を書いている時点で大谷がア・リーグMVPの最有力に留まっているが、何人かの(専門家の)話からすると、三冠王を狙うゲレーロJr.が差を縮めているようだ」と書き出して両者の数字を比較した。 特に注目したのは、チャンスの場面での成績を数値化した「クラッチスコア」だ。データサイト「ファングラフス」の数字を元に大谷が、ア・リーグ15位の0.78、ゲレーロJr.が同67位の-1.27であることを伝え、「『クラッチ』と呼ばれる、すべての場面の成績で大谷が上回っている」と指摘した。 そして「一般的な考え方としてクラッチパフォーマンスは持続的なスキルではない。選手のクラッチパフォーマンスは、通常年ごとに大きく変わるもので、MVP投票の基準として、この数字を考慮することは適している。大谷にその恩恵が大きく跳ね返ってくる」と続けて大谷のMVP最有力説を後押しした。 また本来であればゲレーロJr.を推すべきブルージェイズの地元メディアであるカナダのCBCもMVP争いに触れ、「この驚異的なシーズンでゲレーロJr.はア・リーグMVP争いの候補者の1人となっている。ただMVP獲得には1つの障害がある。エンゼルスの大谷がベーブ・ルースの残したものよりも優れた二刀流シーズンを送っていることだ」と、大谷有力説を唱えた。 「大谷の所属するエンゼルスはプレーオフ争いからはっきりと脱落したにもかかわらず、MVPでの議論は、打者、投手の両方で計り知れない価値をもたらしている選手(である大谷)によって容易に答えが引き出されている」と続けた。 記事は、東京五輪のソフトボールで銅メダルを獲得したダニエル・ローリーが二刀流を目指しながら断念した経験を引き合いに出して二刀流を続けることの難しさを紹介。 「このことが大谷のシーズンを本当に特別なものとしており、チームが成功を収めていなくても彼がゲレーロJr.を上回ってMVPを勝ち取る可能性が高いだろう」と断言した。 たとえ大谷が、“プチスランプ”を脱出できずに本塁打王タイトルを逃し、ベーブ・ルース以来、103年ぶりとなる「2桁勝利&2桁本塁打」の偉業を達成できなかったとしてもMVP獲得だけは間違いなさそうだ。