ロータリーエンジンの栄枯盛衰 名車・珍車36選 前編 メーカー各社の挑戦
ロータリーの歴史と名車・珍車を振り返る
過去130年間、自動車に搭載されるほぼすべての内燃エンジンは、1個から16個のピストンを使用してきた。しかし、エンジンのバリエーションはこれだけではない。 【写真】世界に誇れるマツダのロータリー・スポーツカー【マツダRX-7(初代~3代目)を写真でじっくり見る】 (37枚) 一部のメーカーは、ロータリーエンジンを採用したり、その実験を行ったりしてきた。一見するとピストンエンジンよりもスマートな設計に見えるが、かれこれ60年近く研究されているにもかかわらずほとんど普及していないという事実が、ロータリーエンジンの難しさを如実に表している。 とはいえ、非常に魅力的で興味深いエンジンであることは間違いない。今回は、その歴史と設計について簡単に振り返った後、実際に発売された、あるいは計画されていた36台のロータリーエンジン車について、登場時期のおおよその順序(時系列が一部曖昧なため)で紹介する。
発明者
「ロータリー」と表現できるエンジンは1種類だけではない。ここでは、ドイツのエンジニア、フェリックス・ヴァンケル氏(1902-1988)にちなんで名付けられたヴァンケル型を取り上げる。 実は、自動車に搭載されたロータリーエンジンで、ヴァンケル氏の独創的なアイデアに忠実に従ったものはない。しかし、彼が1つまたは複数のローターで中央のクランクシャフトを取り囲んで駆動し、そこからトランスミッションを介して動力を駆動輪に伝達するというコンセプトを思いついたことから、その名が付けられている。
設計
よく知られているように、ヴァンケルエンジンは、ほぼ数字の「8」の形をしたチャンバー内で偏心回転する三角形のローターで構成されている。ローターが1回転するごとに、燃料と空気の混合気を取り入れ、圧縮し、点火し、排気するという通常のプロセスが3回行われる。クランクシャフトはローターと3:1の比率でセットされているため、このプロセスで3回転する。 ロータリーは回転数が高いとよく言われるが、これは少し語弊がある。エンジン回転数が9000rpmを示している場合、確かにクランクシャフトはその速度で回転し、燃焼サイクルを繰り返しているが、ローター自体は3000rpmでしか回転していない。