ロータリーエンジンの栄枯盛衰 名車・珍車36選 前編 メーカー各社の挑戦
スコダ1000MB
1964年、NSUスパイダーと同じ年に発表されたスコダ1000MBだが、ロータリーエンジンの歴史においてまったく異なる位置に立っている。というのも、市販モデルには搭載されなかったからだ。ロータリーのプロトタイプはいくつか作られたが、スコダは一般に販売する乗用車ではピストンにこだわった。 メーカーがロータリー車を生産開始前に中止したのはこれが初めてのようだが、最後ではなかったことは間違いない。その後10年も経たないうちに、業界では開発中止がほとんど当たり前のようになっていった。
フォード・マスタング
1965年、米国のカーチス・ライト社(航空事業で有名)は発売されたばかりの初代マスタングを購入し、4.7L V8エンジンを取り外して、独自のツインローターユニット「RC2-60」に載せ換えた。 カーチス・ライト社は、米国の自動車メーカー向けのロータリーエンジン・サプライヤーになれると期待していた。マスタングは多くの関心を集めたが、メーカーが振り向くことはなかった。同社の夢とは裏腹に、現在インディアナ州オーバーンにある国立自動車&トラック博物館(National Auto & Truck Museum in Auburn)に展示されているこのクルマは、これまでに製造された唯一のロータリーエンジン搭載マスタングであると考えられている。
マツダ・コスモスポーツ
マツダほどロータリーエンジンに熱心なメーカーは他にない。マツダは1964年の東京モーターショーに初のロータリー車(そして初のスポーツモデル)を出展したが、ツインローターの扱いは困難を極めた。マツダが新しいシールを開発して初めて、ローターがケーシングに「悪魔の爪痕」と呼ばれる傷をつけることはなくなった。 NSUスパイダーよりもはるかにパワフルなコスモスポーツは、1967年5月に満を持して発売された。1968年の改良では、さらなる出力向上をはじめとする手直しが施され、1972年まで生産が続けられた。