「私はこの世にいませんが...」自分が出演する“メッセージビデオ”を葬儀で上映 ビデオ制作中に家族への思いあふれ涙「作ってよかった」【終活】
「このビデオが流れているとき、私はこの世にいません」 身辺整理など“人生の終わり”に向けて行う活動=終活。その1つの形として、生前に「メッセージビデオ」を作りたいという人が増えているそうです。自らの「お別れの会」をプロデュースした男性。そして、外国で暮らす子どもたちにメッセージを残したいという夫婦。どのような思いでビデオを作ったのでしょうか。 【写真を見る】自らの「お別れの会」をプロデュースした松尾さん 会場で使う写真・花・音楽など全て自分で決めた
「私をネタにお酒を…」生前の自分の映像を“お別れの会”で上映
去年12月、神戸市内のホテルで行われたのは、腎臓がんの治療を5年近く続けて亡くなった松尾茂樹さん(当時61)の「お別れの会」。亡くなる2か月前の松尾さんは、抗がん剤が効かなくなり、緩和ケア中心の治療に切り替えて闘病生活を送っていました。 大学のメンバーと集まったりテニスやゴルフを楽しんだり、残された時間を存分に生きる決断をした松尾さんは、自分の「お別れの会」の計画を立てていました。会場で使う写真や花、流す音楽も全て自分で決め、メッセージビデオも収録。医師から「余命が長くない」と告げられ、準備を始めました。 (松尾茂樹さん)「こちらは、『訃報のお知らせ』と『お別れの会のご案内』。自分が元気なうちにできる範囲でやっておいて…。『松尾の生き方を忘れないようにしておきたい』と言ってくれる人が結構多くてね。うれしいし…」 そんな言葉をのこして松尾さんは去年9月に息を引き取りました。61歳でした。
3か月後に開かれた「お別れの会」では松尾さんの希望どおり、ひまわりの花で祭壇が作られ、メッセージが流れました。 【メッセージビデオより】 「このビデオが上映されているということは、私はすでにこの世にいないということになります。ビデオ上ではありますが、ご挨拶を。私の実体はこの世にはいない状態ですが、皆さまがふとした時に思い出していただいたり、私をネタにお酒を飲んでいただいたりして、心の片隅や記憶の中に私のことを残していただければ、非常にありがたいことでうれしく思います」 献花は、大好きな松田聖子さんの曲で。これも松尾さんの希望でした。 (参列者)「ご本人がプロデュースしたお別れ会に出ることはなかなかない。松尾さんが思ったとおりの、みんなが悲しむのではなく楽しんで見送ってくれたらいいなという松尾さんの思いが伝わっていて素敵だなと思いました」 (松尾さんの長男・拓大さん)「父が想像していたとおりというか、願っていたとおり、湿っぽくならず皆さんが和気あいあいとしていただいているので良かったかなと思います」