今日U-24代表がガーナ戦…久保建英が20歳の誕生日に誓った「大人のサッカー」とは何か?
こう振り返った久保にとって、2年前の誕生日は大きなターニングポイントだった。さらに2019シーズンの前半戦で自身を主力として起用し、飛躍するきっかけを与えてくれたFC東京の長谷川健太監督との間で交わされていた秘話も明かしている。 「プレシーズンにチャンスをくれた健太さんから『ここで結果を残せば、今シーズンはお前を使う』と言われて。それに自分が応えられて東京の連勝が始まって、結果としてチームを離れることになりましたけど、健太さんには本当に感謝しかありません。辛いこともあったし、意見が食い違うというか、健太さんの要求に応えきれないときもあったけど、自分は健太さんに大きくしてもらった選手だといまでも思っています」 戦いの舞台をスペインへ移してからは、継続的に招集された日本代表で歴代最年少ゴールなど、数々の記録更新を期待されてきた。スペインと日本とで趣が異なる注目度を浴び続けた十代の日々を、20歳となったいまではポジティブに受け止めている。 「日本代表の試合で騒がれてしまうのは、正直、自分のなかである程度割り切っていて。根づいている文化を含めてスペインとはサッカーに対する考え方も違うので、その意味で普段はサッカーを見ない人が見てくれるなど、日本サッカー界に貢献できるのであれば、自分が騒がれることは何とも思っていません。これからも知名度を上げつつ、今度は自分には実力もあるんだぞ、というところを見せていけたらと思っています」 壮大なビジョンを具現化させていく過程で、20歳の「大人」として初めて臨むU-24ガーナ戦へのプランも思い描いている。東京五輪のグループリーグ初戦、U-24南アフリカ代表を想定した戦いへ、久保は「相手の想定を上回る部分を持って臨むのも大事だと思う」と、19歳のラストマッチで得た教訓をすぐに具現化したいと前を見すえた。 「昨日はちょっとプレスをかけられただけで、こっちは蹴ったりしていた。そこで自分たちが彼らの想定を上回り、ちゃんとパスをつなげていたら相手にとっても難しい試合になったと思う。アフリカの選手は正直、僕たちの上位互換みたいな万能の選手が出てきますけど、全体的に見れば飛び込んでくる選手も多い。自分なりの経験から得た知識もあるので、あえてボールをさらすとか、ワンフェイント多めに入れてみようかな、と」 20歳の誕生日は慌ただしく過ぎ去った。午前中に札幌から福岡へ移動する予定が、荒天でチャーター便の出発時刻が大幅に遅れた影響で空港から札幌市内へUターン。室内で調整を終えて再び空港へ移動するバスの車中で、代表のオフィシャルスーツ姿でオンライン取材に応じたドタバタの展開を久保は自然体で、笑いながら受け止めた。 「本番の前にこういう状況を経験できることが、自分たちにとってポジティブに働くんじゃないかなと個人的に思っていて。大事なのは明日(のガーナ戦)なので、こうしたなかでいかに逆算してできるかが試されていると、みんなとも話しています」 遠藤以外のオーバーエイジ、DF吉田麻也(サンプドリア)とDF酒井宏樹(オリンピック・マルセイユ)もスタンバイするガーナ戦へ。自覚と覚悟をさらに強めた久保もいよいよエンジンを全開にして、心身を東京五輪モードへ切り替えていく。 (文責・藤江直人/スポーツライター)