新型ホンダN-VAN e:は働く人にとって素晴らしき1台だった理由とは?
ホンダが新たに投入したBEV(バッテリー式電気自動車)の「N-VAN e:」は、かつてない乗り味の軽商用バンだった! 今尾直樹がリポートする。 【写真を見る】新型N-VAN e:の全貌(60枚)
大きな荷物も比較的簡単に出し入れ出来る!
ホンダの軽商用バン、N-VANのEVバージョン、N-VAN e:(エヌバン・イー)の試乗会が神奈川県横浜市のみなとみらい地区で開かれた。「とってもイー!」と、筆者は思った。騒々しくて遅い軽の商用バンが電動化によって、静かで速くて快適な乗り物に変身したのだ。これはショック。ショッカーである。イーっ!! まずもって、N-VAN e:の成り立ちを簡単に説明しておこう。N-VANのプラットフォームは、ホンダの大ベストセラー、「N-BOX」と、基本的に同じで、運転席の下のフロアに薄型の燃料タンクを配置するセンタータンク方式を採用している。その燃料タンクの位置に薄型リチウムイオンバッテリーを、フロントに横置きする660cc3気筒エンジンに換えて、小径モーターとその上にインバーターを載せて小型化を図った新開発のPU(パワーユニット)を搭載する。エンジン版N-VANのパッケージングを最大限活かすべく、前輪駆動が採用されている。 そもそもN-VANというのは助手席側のセンターピラーがない、ピラーレス構造になっている。それゆえ、助手席側のドアと、その後部スライドドアを開けると、どど~ん、と爽快なまでにでっかい開口部があらわれる。もちろんテールゲートも備えていて、配送や大工さん等、仕事に使われる方は後ろから横から、どうぞ。と、大きな荷物も比較的簡単に出し入れができる。 おまけに「ダイブダウン機構付き助手席&リヤシート」という仕組みを備えている。これは後席と助手席を倒すと、運転席を残してフラットなフロアがどど~ん、と出現するという賢いもので、バイクも載せられるし、車中泊もできたりする。使い方はいろいろゆえ、ホビー用としても人気があるらしい。本欄でも4月に取り上げたN-VAN FUN特別仕様車 STYLE+NATUREはまさにホビーを意識した仕立てだった。EVになっても、このダイブダウン機構付き助手席&リヤシートを維持する。そのための工夫がフロントのコンパクトなPUと、前後席の床下に配された薄型リチウムイオンバッテリーを含むIPU(インテリジェント・パワー・ユニット)なのだ。