なぜWBO世界王者の木村翔は魂揺れる激闘をTKOで制してV1に成功したか
ボンビー生活脱却を願う木村に、ほんの少しバラ色の未来が見えた。 「とりあえず引っ越しします。仕事もやめます」 家賃5万円1Kのアパートから家賃10万円のマンションに引っ越す計画があるという。 酒屋の配達のバイトは、5度防衛するまで続ける有吉会長との約束だったはずが、防衛の勢いにのって「やめます」と宣言した。何億円を稼ぐプロがいて、バイト生活を脱出できることに喜びを感じる王者がいる。 しかし、そこに宿る大切なモノに大小はない。夢を求め、あきらめない。見習うべき努力の姿である。 次戦、2度目の防衛戦はゾウ・シミンとの再戦の契約になっている。だが、そのゾウ・シミンには失明の噂や、網膜はく離手術の情報などが飛び交っている。もちろん興行権は、ゾウ・シミンに握られているため試合は再度、敵地の上海で行われる可能性が高いが、「中国でもどこでもやる」と、木村は頼もしい。 中国で「福原愛に次いで有名な日本人アスリート」の木村は、1月22日には中国深センで開催されるボクシング興行に招待されている。その人気は中国から大田区総合体育館のリングに見事に逆輸入された。 「僕も激闘王と呼ばれるくらいみんなを熱くさせる試合をしていきたい」 新・激闘王襲名。魂むき出しの「倒す」ボクシングはきっとファンの心をつかむだろう。木村の素晴らしきボクシング人生は今日が始まりなのもしれない。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)