試合の相手国との交流が息抜きに おもてなしは「アルティメット」国際大会の慣例 34歳記者の日本代表体験記㊥
サッカーコート25面、野球・ソフトボール球場12面、テニスコート25面にアイスリンクまで-。米ロサンゼルス大都市圏に含まれるアーバイン市の公園「グレートパーク」は、広大な敷地に多数のスポーツ施設などが並ぶ。人口30万人ほどの市にこれだけの場所があることは、日本では考えられず、スポーツ大国・米国の裾野の広さを感じさせた。 【写真】マスターオープン部門の日本代表=昨年11月 ■6日間で12試合 満身創痍の24人 この場所のサッカーコートを使って昨年11月に開かれたのが「アルティメット」の世界選手権。本紙記者(34)が代表メンバーとして出場したマスターオープン部門(33歳以上男性)には、北米、南米、欧州、オセアニア、アジアから計10カ国が参戦した。 大会はまず総当たりの予選を行ってシード順を決め、上位8カ国で決勝トーナメントを戦うという形式で行われた。 試合は15点先取。100分が経過しても双方が15点に達していなければ、ルールに基づき決勝点が決まる。予選では最長2時間を超える試合も経験した。 それを6日間で12試合。代表メンバーは当時33~38歳までの24人で、フィールドに立つ7人は試合中、得点のタイミングで無制限に交代できるものの、マスター世代にとってこの日程は過酷だ。大会が進むにつれ、多くのメンバーが文字通り満身創痍(そうい)でプレーを続けることになった。 ■「アルティメットでは当たり前」 朝会場に向かい、夕方に試合を終えると、ホテルに戻って2台の洗濯機を交代で使って洗濯。外食や自炊で夕食を取り、ホテルの屋外プール脇にあったジャグジーを大浴場代わりにして疲れを癒やす。夜はミーティングを行った後、買い置きしたパンと具材で翌日の昼食のサンドイッチを作ってから眠りにつく。 日本代表といっても、特別なサポートはなく、必要とされるのは「生活力」となる。大会エントリー費や渡航費、宿泊費、ユニホーム代などの経費数十万円は全て自腹だ。ホテルはチームで会場近くで探し、移動に必要なレンタカーも自分たちで手配した。 大変といえば大変だが、「アルティメットの大会では当たり前」。国際大会に慣れ、環境の変化をものともしないチームメートらのそんな態度が実に頼もしかった。