「これは食らったんじゃ」 佐藤九段、痛恨の読み抜け A級順位戦
藤井聡太名人(22)への挑戦権を争う第83期名人戦A級順位戦の6回戦最終局が26日、名古屋市中村区の名古屋将棋対局場で指され、菅井竜也八段(32)が佐藤天彦九段(36)に98手で勝ち、2勝4敗で今年の対局を終えた。暫定トップの佐藤九段が敗れ、名人挑戦権争いは首位の4勝2敗に4人が並ぶ大混戦で年を越す。 ◇佐藤九段「桂をうっかり」 「これは食らったんじゃないか」。立会人の畠山鎮八段が声を上げたのは午後10時過ぎ、佐藤九段が▲8二桂成と指した瞬間だった。 桂馬を成りながら角取りをかけた一石二鳥のような手だが、検討ではこの手には△6五桂が決め手級で「先手玉を寄せ切れそう」と畠山八段が指摘していた。 菅井八段も僅か3分でこの桂を打った。盤をのぞき込んだ佐藤九段からはみるみる戦意が失われ、4手進んだところで投了した。 畠山八段は「少し前まで△6五桂は先手玉が逃げることができて成立しなかったが、局面のちょっとした違いで逃げられなくなった。それが佐藤九段の読みのエアポケットに入ったのでは」と分析。投了直後、佐藤九段も「桂をうっかりしていて……」と明かした。【丸山進】 ◇A級順位戦6回戦を終えた星取り (カッコ内は順位) 4勝2敗=永瀬拓矢九段(2)▽佐藤九段(6)▽佐々木勇気八段(7)▽増田康宏八段(10) 3勝3敗=渡辺明九段(3)▽中村太地八段(8)▽千田翔太八段(9) 2勝4敗=豊島将之九段(1)▽菅井八段(4) 1勝5敗=稲葉陽八段(5) 上地隆蔵さんが執筆する観戦記は2025年1月22日付朝刊から掲載予定です。