高齢の母の銀行口座が「認知症」を理由に凍結されました。「後見人」を立てればすぐに解除してもらえるでしょうか?
認知判断能力がなくなってしまうと、その方の銀行などの金融機関の口座が凍結されます。基本的に、たとえ家族といえども口座からお金を引き出すことはできません。本記事では、そうした場合の対応方法について解説します。 ▼定年退職時に、「1000万円」以上の貯蓄がある割合は日本でどれくらい?
認知症により口座が凍結された場合の対応方法
親が入院したり、施設にいたりしたとしても親に認知判断能力があり、親の同意があれば、金融機関と相談して親の口座の代理カードや親による委任状を作成することで、親の口座からお金を引き出すことができます。 しかしながら、親の認知判断能力がなくなってしまった場合には、親の口座が凍結されることがあります。その場合、基本的に親の口座から本人がお金を引き出すことができなくなるため、下記の対応を検討する必要があります。 (1)成年後見制度を使う 認知症、知的障害、精神障害などの理由で、財産管理や身上保護などの法律行為をひとりで行うことが困難な場合に、このような方々を法的に保護して、支援する制度を成年後見制度といいます。その制度を使えば、本人の口座からお金の出し入れやいろいろな契約や手続きをすることが可能になります。詳しくは、次の章で見ていきます。 (2)日常生活自立支援事業を利用する 日常生活自立支援事業とは、「認知症高齢者、知的障害者、精神障害者等のうち判断能力が不十分な方が地域において自立した生活が送れるよう、利用者との契約に基づき、福祉サービスの利用援助等を行うもの」とされています(出典:厚生労働省「日常生活自立支援事業」)。 したがって、もし認知症になったとしても、日常生活自立支援事業を利用することで、預金の払い戻しや預金の解約などの日常的金銭管理のサポートを受けることが可能です。 日常生活自立支援事業を利用する際には、都道府県・指定都市社会福祉協議会(窓口業務等は市町村の社会福祉協議会等で実施)に申請(相談)をすることで利用が可能です。また、実施主体が定める利用料を利用者が負担する必要があります。ただし、契約締結前の初期相談等にかかる経費や生活保護受給世帯の利用料は無料となっています。