「命に別条はない」の本当の意味、わかりますか--意識はある?ない?ニュースでよく聞く言葉の裏側
容疑者が逮捕・起訴され、裁判所に舞台が移ると、検察官が「冒頭陳述」を読み上げる。そこには「身上・経歴」という項目があり、容疑者(起訴されたあとで裁判になると“被告”)の生まれ、育った地方、環境、家族構成、職歴などが明らかにされる。 そして警察ではそのことを想定して、住民票で住所を確認し、身上経歴に関する供述調書(身上経歴供述調書)に謄写・添付したり、会社員ならその会社から在籍証明書のようなものをもらったりする。自営業者ならば、登記簿謄本を添付するのが普通だ。
ただし逮捕した時点では、そういった手続きが間に合わないことが珍しくない。しかも、たとえばブローカーのように、仕事の実態がよくわからなかったりすることもある。また、ブラブラしているように見え、一攫千金的に大商いをすることがあったりする人物の場合は、無職なのか特定の職業があるのかの判断にも迷うかもしれない。 そうした場合、容疑者が取り調べで「自分は不動産業です」と言ったとしましょう。会社のホームページも存在しないし、登記簿謄本をとっても該当がないが、まったく事業形態がないわけでもなく、近所の人も「不動産をやっているらしいですよ」程度のことは言っている……。裏付けはまだ取れていないが、とりあえず本人がそう言っているから「自称・不動産業」としておくか、となるのです。(65~66ページより)
「自称・無職」「自称・会社員」「自称・会社役員」などはよく目にするが、なかには「自称・水墨画講師」「自称・占い師」「自称・牧場作業員」など、いかにも確認に時間がかかりそうなケースもあるそうだ。 ■ドラマの取調室は嘘だらけ? 刑事ドラマなどでは、取調室にライトが置かれている場面をよく目にする。登場する刑事は、否認する容疑者の顔に光を当てたりもするが、実際にそういうことはないという。被疑者などが暴れたりすると困るため、必要最低限のもの以外はないのだ。考えてみれば当たり前の話である。