「命に別条はない」の本当の意味、わかりますか--意識はある?ない?ニュースでよく聞く言葉の裏側
■「重傷」と「重体」との違い 一方、「重傷」と「重体」には明確な違いがあるそうで、このことについては具体的な事件が例示されている。少し長くなるが引用したい。 2002年7月、東京駅構内のコンビニ「サンディーヌエクスプレス東京センター店」で、痛ましい強盗殺人事件が発生しました。パンやおにぎりを万引した男が、追いかけてきた店長の男性(33)をペティナイフで刺して逃走したのです。 首都の玄関口である東京駅構内だったこともあって、事件は大きく報道されました。第一報は「刺された男性には意識があり、病院に運ばれたが重傷」というものでした。
大きなけがをしているが意識があれば重傷、意識不明の状態になっていたら重体と表記します。店長は腹部を刺されていましたが、深さは7cm程度で傷が深いというほどではなく、当初は受け答えもできていたことから、警察は重傷と発表していたのです。 ところが刺されてからも犯人を追ったために出血が多かったのでしょうか。その後亡くなってしまいました。わずか550円の万引のために尊い命が失われ、容疑者の男は無期懲役刑が確定しました。(98ページより)
著者も事件の第一報を聞いた当初は、「重傷ということなら、きっと助かるだろう」と思っていたようだ。そんなこともあり、数時間後に亡くなったと聞いたときには非常に驚いたと当時を振り返っている。 いかりや長介さん率いるザ・ドリフターズのメンバーで、2022年に交通事故で亡くなった仲本工事(81=本名・仲本興喜)さんの事故も、第一報は「意識あり」だったそうだ。 「(10月)18日午前9時10分ごろ、横浜市西区浅間町5丁目の市道で、歩行中だったザ・ドリフターズのメンバー、仲本工事さんが、パート男性(73)運転のワゴン車にはねられた。仲本さんは救急搬送時、頭を打つなどして意識がもうろうとした状態で、病院で手術を受けたという」(99ページより)