前田公輝の孤独との向き合い方「新しいことに挑戦して、寂しさを埋めてます」
前田公輝の寂しさとの向き合い方
稜英と奈津実には、お互いを大切に思っていた時間と記憶があったことを、忘れてしまう時期がある。それが本作の妙であり、それでもなお惹かれ合う二人の感情の機微が伝わる所以でもあるのだが、やはり、わかってはいても忘れられてしまう寂しさは募るものだろう。 「僕自身、寂しいときはどうしても寂しいですし、仕方のない面もありますよね。一人で過ごさなきゃならないときの寂しさや不安は……うーん、仕事して忘れてるかもしれません(笑)。僕たちの仕事って本当にありがたい側面があって、たとえば楽器を演奏したり、アニメや映画を観たりしていても、何かしらお仕事として昇華できる機会があるんです。こうやって取材の場でお話しさせてもらえるのも、そうですし。だから、いつか仕事に繋がると思って、これまでやったことのないことをする。それが、寂しさとの向き合い方かもしれません」 趣味も娯楽も、仕事の一環として捉える。そんな前田の姿勢には、どうしたってストイックさが滲む。しかし、彼には余計な力みがない。趣味も娯楽も仕事も、すべてシームレスに取り組む軽やかさがある。 「仕事に繋がるかな、と思って『魔法少女まどか☆マギカ』を観たこともありました。あれだけ話題になっていても、先入観で遠ざけてしまうところがあったんですよね。でも、観てみたらめちゃくちゃおもしろかったです! あとは、そうだな……シンプルに甥っ子に会って寂しさを埋めてもらうことも多いですね(笑)」 月並みな言葉かもしれないが、前田はいつだって等身大で、自然体だ。どんな現場も楽しみ、仕事とプライベートの両方から学びを得て、次に活かす。『いま』と『自分』を俯瞰できているからこそ、どの瞬間の前田公輝も、親しみやすい輝きがあるのかもしれない。 取材・文 北村有、撮影/友野雄 『私をもらって~恋路編~』はHuluで先行配信中。今秋に地上波にて放送予定。