前田公輝の孤独との向き合い方「新しいことに挑戦して、寂しさを埋めてます」
友人には、心からの謝罪と感謝を
『~恋路編~』で買ったキーホルダーは、物語が終盤に差し掛かるにつれ、稜英と奈津実にとっての思い出の品となる。前田にも、大切な人からもらった宝物や、大事に守っている言葉はあるのか問いかけてみた。 「僕って結構、自分でも気づかないうちに、私生活にエネルギーを注ぎすぎちゃうみたいなんです。人に気を遣いすぎてしまう姿勢を調整すれば、もう少し仕事に向けるエネルギーを高められるんじゃないか、と友人から言われたことがあって、『なるほど!』って。それからは、友人たちには心のなかで謝罪と感謝を繰り返しながら、どれだけ自分の意識を本番に向けていけるかを考えるようになりました」 前田と久保田の二人でおこなった取材の場でも、報道陣からの質問に対し、自分が先に回答する番になっていることを気にかけて「(久保田さんが)話すことがなくなっちゃうかもしれない、大丈夫ですか?」と気配りする場面がみられた。座長として作品を引っ張る立場でもあった今回、その“無意識な配慮”は知らず知らずのうちに、前田に影響を与えていたのだろうか。 「座長としての振る舞い方については、前に時代劇でご一緒したことのある船越英一郎さんに、いろいろ教えてもらいました。いちばん覚えているのは、とあるシーンを撮影してカットがかかった瞬間に『いまのはイマイチだったな』って自分で気づいてしまったとき。船越さんはすぐに気づいて『イマイチだと思ったろ? もう一回いこう!』ってリベンジさせてくれたんです。座長から率先して話してくれると、場が一気に和むんだってことも、船越さんの立ち振る舞いを見て学ばせてもらいました。『私をもらって』の現場でも、参考にさせてもらった点がたくさんあります」 プライベートでも、仕事の現場でも、学び取ったことを本番に活かす姿勢を忘れない。それはまさに、常にエンジンがかかりっぱなしの自動車のように、休む暇がない様子にも見える。しかし、どの撮影も楽しかった、と笑顔で振り返る前田の表情に、嘘はない。