前田公輝の孤独との向き合い方「新しいことに挑戦して、寂しさを埋めてます」
奈津実役・久保田紗友とは「波長が合う」
本作では、稜英と奈津実のコミカルで微笑ましいやりとりも見どころの一つ。演じた前田本人も「演じていてすごく楽しかったです」と顔を綻ばせる。 「カットがかかった瞬間に二人で笑っちゃうことも結構あって(笑)、呼吸が合ってよかったな、と思いました。お芝居の波長が合う・合わないって、もう運じゃないですか。僕は基本的にどんな方でも『やりやすいな』と感じることが多いんですけど、久保田さんとはとくに楽しく撮影できたので、この作品をつくっていくうえでの安心材料でしたね」 撮影スケジュールはタイト、かつ奈津実の部屋や稜英の会社など、限られたシチュエーションで進められることも多かった。撮影の合間にコミュニケーションを重ねた、というよりは「稜英と奈津実、二人にとっての関係性ができあがっていくにつれ、僕たちのチームワークも仕上がっていったような」感覚が強かったという。 「撮影中に、稜英と奈津実としてたくさん会話を重ねたからか、だんだん言葉なしにお互いの考えていることがわかってきて。なんだかすごく『兄妹』のような連帯感が強くなっていくのを感じていました。もちろん役の関係性としては恋人同士なんですけど、協力してシーンをつくる時間が積み重ねられるほど、なんか『兄妹』だなって」 お互いに、俳優としてのリスペクトも増す時間となったのだろう。撮影にカットがかかるたびに、久保田の芝居に対して「素晴らしかったです、と素直に感じたことを伝えたり、無言で拍手したり、っていうのをずっとやってました」。短いながらも凝縮された二人の試行錯誤が、シーンの一秒一秒から伝わってくるはずだ。
アドリブだらけのデートシーン
『私をもらって~恋路編~』では、稜英と奈津実のデートシーンもある。前田いわく「ほとんどがアドリブです」。 「デートシーンに限らず、たとえば『追憶編』の1話で、稜英が『(奈津実の携帯が)落ちている』っていうセリフがあったと思うんですけど、あれもアドリブです。あと、奈津実が着ていく服を選ぶシーンで、稜英が『それはダメだ』と言ったのも、そう。稜英の話し方って『~~~だ』『~~~なのか』っていう語尾が多いので、アドリブを入れるとなると難しいんですよね。普段から稜英の話し方に慣れておくために、プライベートでもずっと稜英になってました(笑)」 デートシーンの撮影は、ほとんど「僕たち二人にお任せ状態でした(笑)」と裏話を明かしてくれる前田。最初と最後のセリフと立ち位置、最低限の箇所だけ指定され、あとはまさにフリー演技。大変だったのでは? と問いかけるも、前田は「めちゃくちゃ楽しんじゃいました!」と、さすがの余裕をみせる。 「観光地でお土産を買うシーンがあるんですけど、撮影の合間に、本当にお煎餅を買っちゃいました(笑)。確か久保田さんもアイスを買ってたはず。あとは、そのお店にワンちゃんがいたので、撫でたり一緒に遊んだり、コミュニケーションしてました。いま思い出しても、めちゃくちゃ楽しかったですね」 微笑ましい撮影の裏側を知ると、より稜英と奈津実のデートシーンにも深みが増してくるようだ。ちなみに前田本人は、観光地にあるご当地土産は「あまり買わない」。「今回、裏でお煎餅を買ってたみたいに、お菓子とか飲食ができる名産品を買うタイプ」だそう。 「あ、でも、一時期『ご当地兜』を集めてました。ご当地キャラとか、その土地でしか買えないキャラクターもののグッズって、よくあるじゃないですか。小さいころ、好きで集めてましたね。そういう意味では、ご当地キーホルダーにときめく奈津実の気持ちがわかるかもしれません(笑)」