ドレイクの次は誰だ?「全員クソ食らえだ!」ケンドリック・ラマーの新譜をSGDが解説!
まず、ケンドリックが生まれたのは1987年なので、GNXと同級生。そしてGNXは父親が所有していた車であり、ケンドリックが生まれたあとに病院から家に帰る際に人生で初めて乗った車なのである。 さらにケンドリックは2024年の3月にGNXを購入していたことを明かしている。自身のルーツに関わる車として特別な想いがあるのは一目瞭然であり、今回のミックステープには特別な感情が入っていることがわかる。
ケンドリックが「GNX」に込めたメッセージ
ここでは私の勝手な解釈になるが、ケンドリックがこのミックステープで伝えたかったであろうメッセージをいくつかのリリックを紹介しながら解説しよう。 結論から言うと、ケンドリックはHIPHOP業界のすべてのラッパーたちに喧嘩を売ることによって喝を入れ、競争心を掻き立て業界をより良い方向に向かわせようとしている。
その一環としてHIPHOPに携わる大手レーベルによる支配や管理から逃れ、業界内でのアーティストとしての表現の自由を勝ち取ろうとしている。 現にこのミックステープは初めてケンドリックが所有するレーベル「pgLang」からリリースされているものだ。というのも、物質主義的な内容を歌うラッパーのトップとしてドレイクを見せしめにしながら倒すことで、「スキルを重んじるラッパーでも売れる」ことを証明しているのだ。 さらに、業界に携わるアーティストたちにも「自分が本当に歌いたいことを歌っていいんだぞ!」「スキルを磨け!」と訴えかけることによって、業界全体のクオリティを高めるだけでなく、聴き手やファンにも「スキルある作品をしっかり評価しましょう」と示し、企業やプレイヤー、ファン、すべての意識を高めて業界を救おうとしているのだ。 ミックステープの1曲目に持ってきた「wacced out murals」のリリックで多数の人たちに挑戦状を叩きつけている。その中で以下のリリックがある。 「It used to be fuck that nig*a, but now it’s plural / Fuck everybody, that’s on my body」 (以前は一人に対してクソ食らえ!って思ってたが、今は複数人になった / 命に賭けて、全員クソ食らえだ!) これは今年起きたHIPHOPの歴史に残る壮大なビーフの結果、ドレイクを倒したけれど、次はHIPHOP業界のラッパー全員に対して喧嘩を売ってやる! という意思表示なのだ。