凱旋復帰戦で4-0圧勝…11年ぶりに帰ってきた長友佑都がフル出場でFC東京にもたらしたものは何だったのか?
相手が強いほど闘志をたぎらせて1対1の勝負に挑む。歴代で屈指の左サイドバックへ君臨するに至る原点でもある長友のスタイルが、2010年5月15日の清水エスパルス戦以来、実に4144日ぶりに戻ってきたJ1リーグ戦の舞台でも変わらず体現された。 「青赤のユニフォームを着て、ホームの味の素スタジアムでプレーするのがとにかく嬉しくて。本当に痺れたし、気持ちがよかったですね。FC東京に帰ってきたのも、もう一度野心と情熱を持って、という自分の原点を思い出す意味もあったので。まだ若かった当時の自分に負けたくない、という思いも抱きながら今日は試合に臨みました」 横浜FC戦を振り返れば、前後半で15本を数えたシュートのなかに長友が放ったものはない。ディエゴ・オリヴェイラ、レアンドロのブラジルFWコンビが2点ずつ決めたゴールのアシストもなければ、その前段階の起点にもなっていない。 「正直、僕はヒーローじゃないです。長友にはもうパワーとエネルギーしかないので、めちゃくちゃ頑張ってくれた、球際で戦ってくれたチームメイトたちに感謝したいです」 長友自身も思わず苦笑したが、6日前の12日に同じ味の素スタジアムで、柏レイソルの前に覇気なく0-1で敗れたFC東京は見違えるほど変貌を遂げていた。要因を探っていけば、おのずと背番号「50」がもたらした化学反応に行き着く。 「代表戦でちょっと足を痛めたので最初は別メニューでしたけど、最後の3日間だけ練習に出られました。僕がチームに馴染むのもそうですけど、それ以上にもう一度このチームの士気を、勝利に対する熱量を上げるというところを伝えてきました」 長友は、横浜FC戦までの3日間における新天地へのアプローチをこう振り返った。 常にエネルギッシュな姿を見せる立ち居振る舞い。どうしても遠慮がちになる外国籍選手や若手および中堅への積極的な歩み寄り。必要だと感じれば忌憚なく厳しい言葉も発してきた。 台風14号の影響でキックオフ前から大雨に見舞われた横浜FC戦でも、たとえば味方がバックパスを選択した直後に「いらないよ、それ」と長友は大声を飛ばしている。 「雨の影響でピッチ状態もそこまでよくなかったので、後ろに下げて変にプレッシャーをかけられてボールを奪われるよりは前に、前に進んでいこうとみんなで試合に入っていましたし、僕自身も試合のなかでもっと、もっと前に行こうと伝えていました」