自宅は配偶者へ生前に渡すべき? それとも相続時? 贈与税の配偶者控除と相続税の配偶者控除の違いとは?
相続時に渡す場合のメリット・デメリット
<メリット> ●贈与時と比べて、控除限度額が大きい。 ●不動産取得税がかからず、登録免許税が5分の1で済む。 ●生前に土地・建物の評価や贈与税の申告手続きなどの煩わしい作業をしなくて済む。 <デメリット> ●遺言がない場合、家を配偶者が確実に受け取ることができないリスクがある。 ●相続時に配偶者へ財産を多く分与すると、二次相続(配偶者が亡くなったときの相続)で多額の相続税がかかることがある(*5)。 (*5)相続税の配偶者控除があるからといえって、配偶者の控除を最大限利用して財産分与すると、その後配偶者が亡くなったときに次の代に資産が移転する際には配偶者控除が使えないため、(特にもともとの配偶者の財産が多い場合は)子の相続税負担が重くなる可能性があります。
入念なメリット・デメリットの比較が必要
繰り返しになりますが、自宅を配偶者に贈与する場合は、相続時のことも考えた上で、自分のケースに当てはまるメリットとデメリットを注意して比較する必要があります。また、贈与税や相続税上のメリットだけでなく、家族間の関係や土地・建物の評価額なども併せて考えておく必要があります。 したがって、安易に税務上のメリットだけで決めずに、相続全般に詳しい税務の専門家等に事前に相談することをおすすめします。 出典 (※1)国税庁 No.4452 夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除 (※2)国税庁 No.4158 配偶者の税額の軽減 (※3)公益財団法人 生命保険文化センター 相続税がかかった人はどれくらいいる? 執筆者:酒井 乙 CFP認定者、米国公認会計士、MBA、米国Institute of Divorce FinancialAnalyst会員。
ファイナンシャルフィールド編集部