顧客の心を動かす“刺さる言葉”の作り方とは? 売上アップのための実践的文章術
お客様に刺さる言葉は、作るのではなくお客様の言葉から見つけ出す
続いてのテーマは「刺さる言葉の見つけ方」だ。デジタルマーケティングはほぼ全ての場面で言葉が必要となる。ただ、説明文を書いただけでは売れない。感情を動かす言葉が必要だ。
谷本氏はまず、文章を作る際、10歳の子どもに伝わるかを基準に言葉を選ぶことを提案した。できるだけ専門用語を避け、日常的な言葉を使用すること、そしてお客様が普段使っている言葉に翻訳することがポイントだ。たとえば、企業視点で考えると「安心の日本製」といった表現になりがちだが、「ガンガン洗濯してもヘタレない。さすが国産」といった、お客様が使う言葉で、具体的にイメージしやすい表現にすることが重要だ。
このような言葉は考えるのではなく、お客様が言っている言葉から見つけ出すのがポイントだという。具体的には以下の5ステップで言葉を作っていく。 ■ ステップ1:大絶賛の声だけのテキストファイルを作る インタビューやアンケートなどから得られたお客様の声のなかから、絶賛された声だけを抽出する。 ■ ステップ2:共通する単語で並べ替えをする
絶賛された声のなかで共通する単語や、似た意味の単語に着目し、グループ化を行う。
■ ステップ3:周辺から本当の意味を知る
グループ化するとその言葉の周辺に説明の言葉がある。その言葉に文脈があるので、文脈を紐解くと、その言葉がどういう意味で使われているかがだんだんわかってくる。芋づる式に言葉を集め、20個くらいあったグループを最後は3つや5つくらいにまとめていく。以下の図はダイエットの例だ。
┌────────── なぜ痩せたいのかというと、伸びないデニムが履きたい、服を選ぶのが楽しくなった、などの言葉の先に「ファッションに興味があって、ダイエットしたんだ」と本当の意味がわかってくるという流れです。 具体的であることが非常に重要です。抽象的な言葉は他社でも使えるので、お客様からしたら違いがわからない。自社にしか言えない言葉を、見つけたいんです(谷本氏) └────────── ■ ステップ4:グループごとに見出しをつける なるべくお客様の言葉を変えずにグループごとに見出しをつけると、選ばれる理由が完成する。 ■ ステップ5:響くフレーズを見つけ出す お客様の声を読んでいると、「この声を他の人が読んだら、商品を買っちゃうんじゃないかというすごくいい声を書いてくれる人がいる」と谷本氏。そういった声を見つけたら、星マークをつけておこう。このフレーズがそのままキャッチコピーとして使える。 せっかくアンケートを取っているのに、活用しておらず、宝の持ち腐れになっているケースも多いという。ぜひ自社のお客様の声やアンケート、レビューを活用して、取り組んでみてほしい。