顧客の心を動かす“刺さる言葉”の作り方とは? 売上アップのための実践的文章術
顧客を知るのにおすすめの方法は“インタビュー”
では、顧客を知るにはどうすればよいのだろうか。さまざまな方法があるが、おすすめはインタビューだという。知りたいのは、「その人が今どういう気持ちなのか、何を考えているのか、何を伝えれば商品が欲しいという気持ちになり、行動してくれるのか」というお客様の内面だ。顧客理解にはデータを使った分析方法もあるが、データを活用する場合、人を集合としてみているので、内面が深く理解できるかというとそうではない。データは役に立つが、お客様一人一人の顔がイメージできていないとデータを読み間違えてしまうこともある。 ┌────────── やりたいことは、お客様と同じ世界を、お客様の中に入って見ることです。外から観察するのではなく、お客様の着ぐるみを着て世界を見たら、何が見えるのかということです。だからこそ、最近、特定の一人の顧客を深く理解しようと、N1分析や定性調査、インタビューの重要性が見直されているのかなと思います(谷本氏) └────────── 顧客インタビューは、顧客理解を深めるためには欠かせない手法だ。しかし、正しいやり方がわからなかったり、やってみて失敗して心が折れた経験があったりして、ハードルの高さを感じる方が多い手法でもある。典型的なダメなやり方は、質問攻めだという。 ┌────────── うちの商品を買った理由は?うちの何がいいんですか?と聞かれて、みなさん答えられますか? ちょっと厳しくないですか?(笑)みんな親切なので、考えて、後付けの理由を答えてくださるのですが、それは本当の理由ではないのでセールスコピーとしては使えません。本当に必要なのは、相手がどんな人かを知ることです(谷本氏) └──────────
インタビューのポイントは「事実を追う」。自社にたどり着くまでの経緯・嫌だったことを聞こう
谷本氏がインタビューを行う際、ほとんど質問はせず、世間話や雑談の中から聞き取っているという。インタビューのポイントは、「事実を追う」ことだ。買うかどうかを決めたタイミング、その瞬間何が起こったのか、また過去、つまり買うまでのプロセスを聞いているという。 特に、買うまでのプロセスは自社と、競合他社の顧客では大きく異なるという。ダイエットのサプリを例にすると、サプリを購入する前にダイエットの器具を買ったり、YouTubeを見たり、雑誌やテレビで何かを見ているかもしれない。けれど、うまくいかず、ダイエット器具は面倒だからサプリにたどり着いたといった具合だ。また、自社商品にたどり着くまでに、嫌だったことを聞くのも重要だという。 ┌────────── 同じような商品でも、インタビューをすると自社と競合の客層は確実に違います。また、自社商品やサービスのいいところを聞きだすのは難しいですが、過去の嫌だった経験はみんな喋りやすい。嫌だったことは、裏返しで自社に期待していることなんです(谷本氏) └────────── ■ お客様が大事にしている価値観や感情は、特定の場面を深掘りすることで明らかにできる 過去の嫌な経験を聞くには、単に悪口を聞くのではなく、特定の場面について聞くことが重要だという。嫌だったことを聞いたときに、「たとえば?」「具体的には?」と掘り下げて聞こう。さらに、「そう思ったのはいつか」を問いかけ、いつどこで誰に誰がという5W1Hを聞いていくと、その時に顧客がどういう気持ちだったのかが聞き出せるという。 ┌────────── お客様が買い物をするときに何を大事にしているのかは、特定の場面の話を深掘りすることで明らかにできます。お客様にインタビューするときは一問一答ではなく、問いかけて返ってきた答えに対して深掘りしたり、相手が話したくなるように「そうですね」と同意したりします。そういったやり取りの先に、お客様の価値観や感情があるんです(谷本氏) └────────── インタビューは実際にやってみると、思ってもいなかった話が聞けて、とてもおもしろいと谷本氏。ただ、いきなりお客様に聞くのはハードルが高いと思う場合は、家族や友人など身近な人で練習してみるのがおすすめだという。