ポンコツさ極めていた北朝鮮の潜水艦、すべて改修され使える状態に
■ 6.攻撃型潜水艦の態勢が確立 北朝鮮は2023年9月、弾道ミサイル潜水艦「金君玉英雄艦」を進水させた。 旧式の通常型潜水艦「ロメオ級」を改造して、4発の小型のSLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)と6発のSLCM(潜水艦発射巡航ミサイル)を発射できるようにしたものだ。 しかし、この潜水艦は現実に10発ものミサイルを実際に搭載できるのか、その形状はバランスが悪くまともに航行できるのか、ミサイル発射に耐えられるのか、など多くの疑問がある。 だが、一応は完成させた。 弾道ミサイル潜水艦は、この1隻だけで運行させれば、敵の攻撃型潜水艦に攻撃されてしまう。 そのため、必ず数隻の攻撃型潜水艦で守られなければならない。 今回、北朝鮮が整備した潜水艦は、弾道ミサイル潜水艦を守る役割を担うことになる。 図3 弾道ミサイル潜水艦とこれを守る攻撃型潜水艦のイメージ 北朝鮮の2種類の潜水艦はいずれも旧式であり、米韓日の潜水艦に比べればかなり劣ってはいる。 とはいえ核を搭載して、どこかに密かに潜航していれば、極めて大きな脅威になる。
■ 7.安全な海でなくなった日本海 北朝鮮は旧式の通常兵器を改修し、各種ミサイルとともに戦争ができる態勢に変化しつつある。 北朝鮮の通常兵器は、「旧式のポンコツ」と「笑える兵器」だと評価していたが、露朝軍事関係の強化により改修のための資金を得て、部品を導入し、ロシアの技術者の協力を得て、ポンコツ通常兵器を使える兵器として生き返らせている。 旧式であっても潜水艦であれば、日本周辺で活動できる。 水中から魚雷攻撃される可能性が高まり、米韓日の軍艦や民間の船舶にも脅威となる。 密かにミサイル攻撃が行われる可能性が十分にあるということだ。 北朝鮮の通常潜水艦、小型潜水艦、特殊潜航艇からの魚雷攻撃への警戒が必要になった。 北朝鮮の潜水艦はスピードも遅く、水中潜航移動時の音も高く、発見される可能性も高い。 とはいえ、米韓日は弾道ミサイル対処を行いつつ、無人機などへの防空作戦を実施し、そして対潜作戦も実施しなければならなくなる。 核を搭載できる潜水艦とこれを守る攻撃型潜水艦の整備も完了した。 両方とも旧式であるが、これらが日本海のどこかに密かに潜航することは極めて大きな脅威となる。 《この記事をはじめから読む→》
西村 金一