ポンコツさ極めていた北朝鮮の潜水艦、すべて改修され使える状態に
■ 2.2014年に金正恩が乗船した潜水艦の錆び 2014年6月、金正恩総書記は海軍を視察しロメオ級潜水艦に乗船した。 その時の朝鮮中央通信が公表した写真を見ると、潜水艦は緑に塗装され、潜水艦の世界共通の色である黒褐色ではなかった。 そして、潜水艦のハッチ、艦橋と船体の繋目、動いたことにより波が生じて見えた潜水艦の水面下にあった部分(写真3の赤丸部分)、そこに多くの錆が見えた。 写真3 水上を移動するロメオ級潜水艦に乗船する金正恩 国のトップ(独裁者)が乗艦する潜水艦が錆びていたのである。 潜水艦は、敵の第1撃を水中に隠れていて逃れ、その後反撃をすることができる唯一の兵器である。 潜水艦は戦略上、極めて貴重な兵器なのである。 それが錆びていたということは、その他の通常兵器は、もっとひどい状態にあることを端的に表している。
■ 3.馬養島配備の錆だらけ潜水艦が復活 ウクライナでの戦争に、北朝鮮が弾薬や兵を送り込んでいる状況の中、約3年ぶりに、馬養島の錆びた潜水艦はどうなっているのか、「さらに錆がひどくなっているか」、あるいは「廃艦になっているのではないか」と思いつつ確認した。 予想に反して、錆だらけだったものが色が塗り替えられ、整備されているのが明確に分かる。 2024年11月の映像だと、見えなくなった潜水艦が2隻あるが、係留されている潜水艦はすべて錆は落とされ、世界各国と同じ潜水艦の色に塗り替えられていた(写真4参照)。 航行できる状態に復帰したものと見てよいだろう。 数隻見えないのは、他の潜水艦のことから推測すると、改修かあるいは出港していて、その港にはいないと考えられる。 スクラップになっている様子はない。別の潜水艦基地から移動してきたものでもないだろう。 写真4 綺麗に塗装されたロメオ級潜水艦 2024年11月 では、馬養島の潜水艦が、改修されて動けるようになった理由は何か。 ウクライナ戦争直前は、錆びたままで係留され、動ける状態にはなかった。それが、ウクライナ戦争中に、見違えるほどにきれいに改修された。 改修された時期は、ウクライナ戦争中だった。 このとき何の変化があったのか。それは、ロシア技術者の協力であろう。 ロシアでは、倉庫に旧式の兵器が置き去りにされていた。戦っているうちに戦車等の兵器が不足し、これら野ざらしにしていた兵器を改修せざるを得なくなった。 この時、北朝鮮が必要としている旧式のロメオ級潜水艦の部品があることに気付き、その部品と技術者を北朝鮮に派遣して、修理を手伝ったのではないだろうか。 つまり、北朝鮮から弾薬・兵器・兵士を送る返礼としての技術協力の一つが、既に実施されていたということであろう。