ポンコツさ極めていた北朝鮮の潜水艦、すべて改修され使える状態に
■ 4.もう一つの基地の潜水艦 もう一つの基地、遮湖(チャホ)は2022年1月のグーグル画像では、船だまりに係留されている潜水艦(写真5左)、港内の海上にある潜水艦(写真5右)が見えた。 それぞれの潜水艦は黒褐色であり、整備が行き届いた状態であった。 それまで継続して見ていた結果、それぞれの潜水艦の位置が変化していることから、行動していることが分かる。 写真5 遮湖基地に接岸している潜水艦と遮湖港内の潜水艦(移動中? ) この基地の埠頭は、北朝鮮の馬養島、日本の横須賀や呉基地、欧州やロシアの一般の基地とは異なり、港湾の中に狭くて特殊な形の船だまりがある。 さらに、その奥の背後には丘陵にトンネルが建設されていて、水上を移動して入る構造になっている。 同じような船だまりが近くにもう1か所ある。おそらく、2つの船だまりはトンネルの内部で繋がっており、出入口の1か所が空爆で破壊されても、別のところから出られる構造になっているようだ(写真6)。 左写真6:2つのトンネル基地、右図1:トンネル基地内部(A点~B点)のイメージ
■ 5.韓国哨戒艦への魚雷攻撃再来の危険性 北朝鮮が各種潜水艦(ロメオ級潜水艦、ミニ潜水艦、潜水艇)を整備し充実させれば、何をしてくるだろうか。 平時と有事の両方で、日米韓の軍艦や各国の民間船舶に対して密かに接近し、魚雷攻撃を行う可能性が高まる。 なぜかと言えば、北朝鮮が韓国軍艦艇に対して過去、実際に実行したことがあるからだ。 2010年3月、黄海(西海)北朝鮮との南北境界水域の白れい島付近で、北朝鮮潜水艇が韓国軍艦に接近し、魚雷を発射して攻撃した。 韓国海軍哨戒艇「天安」(1200t)船体は、突然2つに割れて沈没した。 韓国軍の調査の結果、北朝鮮軍の潜水艦(艇)による魚雷攻撃によるものであったと結論付けられた。 図2 水上艦艇を魚雷攻撃する潜水艦(艇)のイメージ 北朝鮮は、要人暗殺、日本人や韓国人などの拉致、航空機爆破、大統領官邸襲撃、韓国領土への砲撃、韓国軍艦への各種攻撃など、多くの挑発的行動を実施してきた。 潜水艦を整備したということは、潜水艦を使って新たな軍事的挑発を実施する可能性が十分出てきたということである。