【高血圧の見逃されやすい原因!】原発性アルドステロン症 治療方針決定のための国際標準化への道を開く
新たな国際標準判定方法の確立
編集部: 今回の研究で新たな診断基準を確立したとのことですが、その中で明らかになったことを教えてください。 小林先生: 前述のLI値をもとに、片側性か両側性かを判断するわけですが、これまで片側性か両側性を分けるための最適なLI値は明らかではありませんでした。そこで今回の研究では、世界16施設で合計1550名の原発性アルドステロン症の患者さんを対象に、LI値と手術後の治癒率の関係を解析し、最終的に最も正確に片側性か両側性かを区別するためのLI値を明らかにしました。 編集部: この研究結果の意義について教えてください。 小林先生: 今回の研究により、手術の必要性を判断するための国際的に標準的な判定方法が確立されました。これにより、原発性アルドステロン症の診断と治療の国際的な標準化が進み、患者さんの健康と生活の質の向上が期待されます。 編集部: 一般の方が日常生活で気をつけるべきことはありますか? 小林先生: 高血圧を放置すると脳卒中や心筋梗塞など、命に関わる疾患のリスクが高くなります。可能であればご家庭で血圧測定計を購入し、ご自宅で測定してみるといいかもしれません。家庭血圧が135/85mmHg以上の場合は高血圧の診断になります。高血圧の予防や管理には、適度な運動、塩分の摂取制限、バランスの取れた食事が重要です。それでも良くならない場合には、背景に原発性アルドステロン症などの疾患が隠れている可能性もありますので、早めに医療機関を受診し医師に相談することが大切です。 編集部: 読者へのメッセージがあればお願いします。 小林先生: 原発性アルドステロン症の早期診断と適切な治療が患者さんの健康を守るために重要です。高血圧でお困りの方は、専門医に相談し、適切な検査と治療を受けてください。今後も研究を続け、より良い治療法の開発を目指してまいります。
編集部まとめ
今回の小林先生へのインタビューを通じて、原発性アルドステロン症の手術の必要性を判断するための新しい国際標準判定方法が確立されたことがわかりました。この研究は、原発性アルドステロン症の診断と治療における新たな道を切り開き、患者さんの健康と生活の質の向上に寄与することが期待されます。
【この記事の監修医師】 小林 洋輝先生(日本大学医学部附属板橋病院) 2011年日本大学医学部卒業、2018年ハーバード大学医学校ジョスリン糖尿病センター リサーチフェロー(日本学術振興会海外特別研究員)、2022年日本大学医学部 内科学系腎臓高血圧内分泌内科学分野助教。日本腎臓学会専門医、米国腎臓学会上級会員、日本内分泌学会専門医、日本透析医学会専門医、日本高血圧学会専門医。 現在は日本大学医学部附属板橋病院に勤務しており、腎臓疾患、内分泌疾患、糖尿病、高血圧等の診療・研究に携わる。