103万円の壁にぶち当たる「極貧大学生たちのリアル」
当然、娯楽や遊びに使うお金はほとんど残らない。Aさんが続ける。 「大学生の酒離れっていうけど、そもそもお金がないから飲み会なんてたまにしかできないですよ。コロナ禍でサークル活動が衰退したって話も聞きますが、みんな生活は苦しいし忙しいので当然だなって思います。 昔は毎日のように飲み会をするサークルがあったと聞きますが、よくそんな余裕があるなと驚きます」 上智大学大学院に通う修士1年・女子のBさんも同意する。 「生活は苦しいのですが、サークルでごはんや飲み会に行くと、どうしても後輩におごらざるをえない。手痛い出費なんですが、そうしなければサークルに残ってくれないと思って。お金に困っているのは後輩たちも同じですから......」 こんな状況では、旅行やレジャーも気軽に行ける学生はわずかだろう。円安の影響で、海外旅行はよりハードルが高い。 「地元の同級生のうち大学進学した6人で卒業旅行をすることになったのですが、みんなお金がなくて、東京で3日連続で飲めばいいか、というプランに落ち着きました。卒業旅行くらい行きたかったですね」(Aさん) ■お金だけでなく時間もない そこまで困窮するもうひとつの大きな要因は、高騰する東京の家賃だ。東海地方出身の前出のBさんも、家賃に悩まされてきたという。 「実家から家賃補助として月3万円の仕送りをもらっていますが、その額で住める家は都心にありません。昔の貧乏学生が住んでいたようなボロアパートはないし、足立区や荒川区といった東京の下町でも最近は家賃が高い。頑張っても6万円で収まるかどうかです。 渋谷区の高級住宅街にあった大学の寮は、家賃10万円もして入れませんでした。年間の家賃だけで103万円を超える寮って、親の支援を受けられる人向けですよね。 地方出身の大学生には家賃が一番の負担。103万円の壁の撤廃より、大学生への家賃補助や、家賃の安い学生寮が欲しいです」