<露ドーピング>スポーツと薬物使用の長い歴史 五輪では100年以上前から
また、ロシア以外の国でドーピングが行われている可能性について、WADAは報告書の中でその存在を示唆したものの、詳細については言及しませんでした。これに関して、ロシアだけが政治的に狙い撃ちされたという声も存在しますが、11日付の英紙ガーディアンは過去10年のWADAの年間予算が平均で25億円程度という実情を指摘し、限られた予算で全てのスポーツにおけるドーピング調査を徹底するのには無理があると伝えています。 WADAの年間予算の約半分は国際オリンピック委員会から。残りは各国政府からの支援になっています。支援額は国によって差があり、WADAが公開している2014年度予算の内訳をみると、ブータンやバングラデッシュは5000ドルでしたが、ロシアは追加分も含めると100万ドルを超えます。メジャーリーグの薬物汚染や自転車競技のランス・アームストロングのドーピング問題で一躍有名になったWADAですが、今回のように国家がドーピングに関与した場合、矛先を自らのスポンサーに対して向けなければならないジレンマにも直面しています。ロシアのドーピング問題にメスを入れたWADAの勇断は称賛されるべきですが、同時にWADAの財政基盤も議論される時期なのではないでしょうか。 (ジャーナリスト・仲野博文)