兵庫県知事選、舌戦最中 各候補はこんな人
兵庫県前知事の失職に伴う知事選が10月31日に告示され、告発文書問題を巡って混乱を深めた県政の立て直しや斎藤県政の評価、知事の資質などを主要争点に、各候補が激しい舌戦を繰り広げている。11月17日の投開票を前に、各候補者の横顔を紹介する。 【写真】斎藤氏「ずっと一人ぼっち」雨中の演説で本音ポツリ ◆憧れはアントニオ猪木さん 清水貴之氏(50)無新 朝日放送アナウンサーとして、長くテレビ番組のメイン司会を務めるなどしてお茶の間では知られる顔。東日本大震災の被災地取材を経験する中で、当時の民主党政権にいらだちを覚えて政治の世界に挑戦し、平成25年に日本維新の会の参院議員となった。 「今回の問題で兵庫県の悪いイメージが全国に広がってしまった。『兵庫はこんなに良いところなんだ』とアピールしたい」。そんな思いで知事選に臨む。先の衆院選に向け、公明党の牙城である兵庫8区からくら替え出馬する準備を進めているさなかに降ってわいた選挙だった。党を離れ、「ひょうごリスタート」をスローガンに掲げて戦う。 憧れのヒーローは故アントニオ猪木さん。一緒に街頭演説をした経験もあり、参議院の自室には写真を飾っていた。「生きておられたら、『迷わず行けよ』と言ってくださったかな」。 ◆震災でのボランティア原点 稲村和美氏(52)無新 証券会社勤務や兵庫県議を経て、38歳だった平成22年に当時全国最年少の女性市長として尼崎市長に初当選。市長を3期務め、財政再建などに取り組んできた。政治の世界から身を引いたが、「県政の混乱と停滞をこのままにしておくことはできない」との一心で立候補した。 原点は、平成7年の阪神淡路大震災で経験した避難所でのボランティア活動だった。当時は神戸大の学生。「あとから思えば、ここで自治に目覚めていった」。この経験が、市民のやりがいや主体性を重視する「市民派」としてのスタイルを築いていく。 目指す県政の姿について「対話と信頼なくして改革はない。県民が置き去りにならないように県政を進めることが重要だ」と力説する。奈良市出身だが、自身について「兵庫に育ててもらった人間」。今、その恩に全力で報いる覚悟だ。 ◆座右の銘は「雲中雲を見ず」