「孤独感」からハマる人が増えている――コロナ禍で変化するギャンブル依存症の現状
「推し活やゲーム課金にハマる子どもの保護者からの相談が増加した」――そう語るのは、ギャンブル依存症問題を考える会の代表、田中紀子さん。小中学生がスマホゲームなどに高額課金してしまうなど、依存症の低年齢化が深刻化している。また、コロナ禍で人との関わりが希薄になり「孤独感を埋めようとした結果、ギャンブル依存症に陥る人も増えている」と田中さんは言う。ギャンブル依存症の現状について、田中さんに聞いた。(聞き手:荻上チキ/TBSラジオ/Yahoo!ニュース Voice)
推し活、ゲーム課金……ギャンブルとは無縁でも依存への入口は近くに
――コロナ禍をきっかけにさまざまなことがオンラインやリモートでできるようになりました。ギャンブルをはじめとした依存症にも何か変化は見られるのでしょうか? 田中紀子: コロナ禍以降、若い世代の保護者からのご相談が増えましたね。例えば、中学生が「推し活」のために多くのお金を使ってしまうとか、スマホゲームの課金などで親のクレジットカードを勝手に使ってしまうとか。「親の財布からお金を盗んでしまう」という相談も来るようになりました。そういった相談が急に増えたため、正直私たちも「推し活って何?」という状態で。相談に対応するためのスキルをいちから学んでいるところです。 あとは、以前からあるゲームのガチャへの課金ですね。最近は、ガチャが犯罪に結びついているという報道が出るようになって「あ、やっぱりこういう時代になったか」と思っています。今までも、ギャンブルが引き金になって横領や窃盗、万引きなどの事件が起こるケースがありましたが、今やガチャでも同じような事件が起きている。私たちへの相談の幅が広すぎて、なかなか対応が追いつかない状況です。 ――ギャンブルへのハマり方も、昔とは変わっているのでしょうか? 田中紀子: これまでは、親がギャンブルをする姿を見ていたからとか、恋人や友人に誘われたからといった理由でギャンブルにハマった人たちが多かったと思うんですね。でも、いまの若い人たちは、自分の好きなYouTuberの「賭けてみた」みたいな動画を見て、ギャンブルを始める人も多いんです。現場には一回も行ったことがないし、仕組みなどもよくわからないけど、ギャンブルにハマっているという若者もいます。 だから、誰がどのタイミングで依存症になってしまうのかわからない。家族も気づかないうちに、1人でのめり込んでしまう。そのため、突然借金が発覚したり、会社から横領の事実を告げる電話がかかってきたりして、はじめて家族がギャンブルをしていることに気がついたりするケースもあります。こうなると家族もトラウマになってしまいますよね。