【ジロ・デ・イタリア2024 レースレポート:第1ステージ】「ポガチャルのような強豪を倒せて最高の気分」。三つ巴スプリントを制したナルバエス勝利で、ジロが鮮やかに開幕!
マイカの引くポガチャル集団に、最大30秒差を押し付けた先頭グループだったが、決して協力体制は良くなかった。コンチ曰く「誰もがマリア・ローザの可能性を意識していた」せいだった。そのコンチは残り6km、ライバルを置きざりにし、独走を選んだ。2度目のサン・ヴィートには、先頭で飛び込んだ。
その平均勾配9.8%の激坂で、ポガチャルはついに動いた。残り4.4km。しかもモニュメント6勝を誇る現役屈指のパンチャーは、幾度となく強烈に畳み掛けた。
「最後の上りでは、麓から頂まで、とにかく加速し続けなきゃならなかった。だって前方のグループとのタイム差が大きすぎたから。全てを試み、全力を尽くした」(ポガチャル)
ポガチャルの決死の加速に、反応できた者は多くなかった。かつて世界選2連覇を果たしたジュリアン・アラフィリップは、3度目の加速まではなんとかしがみついたが、それ以上は無理だった。ただナルバエスだけが、ぴたりと後輪に張り付いた。ポガチャルが何度踏み込んでも、決して引き下がらなかった。
「いまだに脚が痛むよ!本当に厳しかった」(ナルバエス)
熱狂的なファンが詰めかけた小さな激坂の終わりに、ポガチャルは希望通り先頭グループを回収し、独走態勢に持ち込んでいたコンチを前から引きずり下ろした。ただナルバエスは最後まで千切れなかった。さらには「結果的に前に出ていて良かった」と打ち明けるシャッフマンも、得意の下りで食らいついた。追走集団に総合エースのゲラント・トーマスやスプリント巧者フィリッポ・ガンナが控えるナルバエスも、同じくダニエル・マルティネスを理由とするシャッフマンも、当然のようにポガチャルとの先頭交代には加わらなかった。総合大本命として、ツール総合2勝の王者として、ポガチャルも他人の助けなど期待しなかった。ひたすら先頭で、前を目指した。
勝負は三つ巴スプリントに持ち込まれた。「3人での勝負は久しぶり」とポガチャルが振り返ったように、今季6勝(+総合1勝)のうち5つが独走によるもので、1つは中集団スプリント。平地で、じっくりと、3人での駆け引きを繰り広げたのは、2023年春のE3サクソ・クラシック以来かもしれない。あのときはスプリントにおいては明らかに格上の2人……ワウト・ファンアールトとマチュー・ファンデルプールの前に敗れたが、今回は誰が勝ってもおかしくない状況だったはずだ。最後尾につけていたシャッフマンの加速を合図に、ポガチャルも全力疾走に切り替えた。 「スプリントを始めたのが、あまりに遠すぎた。少し神経質になっていたのかもしれない」(ポガチャル) 2人の間でタイミングを図っていたナルバエスは、最後に腰を上げた。2024年初戦ダウンアンダー・クラシックで、衝撃的な逃げ切りスプリント勝利をもぎ取ったように、イタリアでも極めて冷静に首位の座を射止めた。
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