「Wi-Fi 8」は通信速度よりも安定性重視--ユーザー体験と効率の向上を図る新規格
信頼性とユーザー体験 Wi-Fi 8では、先ほど紹介した特定の機能以外でも信頼性が重視されている。利用可能な周波数帯をより効果的に使用することで、パフォーマンスを低下させずに、より多くのデバイスを同時に接続可能にすることを目指している。家庭や企業での接続デバイスの増加によって生じる課題に対処するうえで、この機能は不可欠だ。 Wi-Fi 8の信頼性と効率は、高度なアプリケーションの新たな可能性を開くだろう。遅延の低減と接続の安定性向上により、仮想現実(VR)や拡張現実(AR)、リアルタイムゲーム、産業オートメーションといったテクノロジーを大きく変えるかもしれない。 心躍るような進歩が約束されているWi-Fi 8だが、家庭やオフィスで利用できるようになるのはまだまだ先であるという点に注意したい。米電気電子学会(IEEE)はWi-Fi 8規格を2027年までに完成させて提出する予定だ。最初のWi-Fi 8対応製品は2028年初頭に登場するとみられている。 筆者の予想では、Wi-Fi 8デバイスはそれよりも早く登場するだろう。メーカーは規格の完成前に機器を販売するのがあまりにも好きだからだ。規格が完成するまで待ってから、Wi-Fi 8ハードウェアを購入しよう。待ってよかったと思うはずだ。 Wi-Fi 8は、大きな注目を集めるほど前世代から速度が向上するわけではないかもしれないが、信頼性、効率、ユーザー体験に重点を置いていることは、ワイヤレステクノロジーの成熟した進化を表している。ワイヤレス接続への依存度が高まる中で、これらの改善点は、純粋な速度の向上以上に私たちの日常生活に大きな影響を及ぼす可能性が高い。 この記事は海外Ziff Davis発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。