3930万3000円の超高級車の進化とは? 豪華過ぎる新型ベントレー・コンチネンタルGTの世界観に迫る
ベントレーの新型「コンチネンタルGT」に、サトータケシがサーキットで試乗した。電動化による進化に迫る。 【写真を見る】新型コンチネンタルGTの全貌(18枚)
高度なパフォーマンスと環境性能の両立
試乗会場となった「THE MAGARIGAWA CLUB」(千葉県南房総市)の瀟洒なパドックで、第4世代のベントレー・コンチネンタルGTと対面した。全体のフォルムは、2003年に登場した初代を踏襲しつつ、ディティールに工夫を凝らすことで現代的にアップデートしている。ポルシェ「911」や「レンジローバー」と、同じように、ひと目で“あのクルマだ”と、理解させることと、最新モデルだとアピールすることがバランスしていて、思わず「うまい!」と唸らされる。 最大の変化はフロントマスクで、デビューから20年、コンチネンタルGTといえば片側2灯の丸目4灯がお約束だったけれど、新型はシングルヘッドライト。ライトの上部には眉を思わせる水平のラインが走る。デザイナーによれば、新型コンチネンタルGTは“静かに座る虎”を、イメージしたとのことで、そんな説明を聞いた後だから、ヘッドライトが虎の目に見えてくる。 インテリアもキープコンセプトで、物理的なダイヤルやスイッチが残されている。タッチスクリーンに操作系を集約する最近のインターフェイスは室内のスペース効率に優れるいっぽうで、必要な情報の階層になかなかたどり着けず、イライラすることも多い。 コンチネンタルGTのようにスイッチ類が残されていると、慣れれば視線を動かさずにブラインドタッチで操作できるから安全にもつながるわけで、これはこれで使いやすい。 開発陣によればパワフルで快適なグランドツアラーというコンセプトはそのままに、完全新設計のプラグイン・ハイブリッドシステムによって、高度なパフォーマンスと環境性能の両立を図ったという。 最高出力780ps、最大トルク1000Nmのパワートレインの実力を確認すべく、START/STOPボタンをプッシュする。するとウルトラパフォーマンスハイブリッドは無音で起動した。ドライブモードがデフォルトの「B」モードだと、EV走行を最優先するからだ。 モーター単体でも最大トルクは450Nmと、2.0リッタークラスのディーゼルターボに匹敵するから、滑らかに加速する。そしてアクセルペダルを75%以上踏み込むと、V型8気筒ツインターボエンジンが目覚め、前方に吸い込まれるように加速する。 興味深いのは、V8エンジンの始動や8段ATのシフトが実に滑らかなことで、加速力は途方もないのに、荒々しさは一切感じさせない。唯一、V8エンジンの勇壮な排気音だけがドライバーの鼓膜を刺激する。このあたり、ドライバーが何を不快に感じて、何を快感として受け止めるのかということをよくわかっている。