3930万3000円の超高級車の進化とは? 豪華過ぎる新型ベントレー・コンチネンタルGTの世界観に迫る
車重を意識させない走り
有名なサーキットの設計で知られるティルケ・エンジニアリング&アーキテクツが手がけたTHE MAGARIGAWA CLUBは、先の見えない急勾配とテクニカルなコーナーが組み合わされている。コンチネンタルGTスピードは、この難易度の高いコースをクールに攻略する。 奥へ行くほどに曲率が厳しくなる複合コーナーでも思い描いたラインをきれいにトレースして、S字コーナーではイナーシャ(慣性)を感じさせずに颯爽と身を翻す。軽快かつ繊細なコントロール性は、とても2.4tを超える車重があるクルマだとは思えない。 感じ入るのは、「ベントレーパフォーマンスアクティブシャシー」と、呼ぶシャシーの完成度の高さだ。4輪操舵、4輪へのトルク配分を自在にコントロールするフルタイム4駆システムなどによって、敏捷性と安定した身のこなしが高いレベルでバランスしている。路面に吸い付くように速度を殺すブレーキも完璧だ。 クローズドコースのスムーズな路面で試乗だったので、乗り心地については一般道での試乗で確認したい。ただし、コーナーの縁石を踏んだ瞬間の突き上げのマイルドさから想像するに、新設計のエアスプリングとデュアルバルブダンパーを組み合わせた足まわりの乗り心地は、かなりレベルが高そうだ。 コンチネンタルGTのプロジェクトリーダーを務めたDarren Purvinによれば、ハードウェアに関しては同じフォルクスワーゲン・グループに属するポルシェと意見を交わしながら開発を進めたとのこと。一方、ソフトはまったくのオリジナルで、ポルシェとはまるで別物のテイストに仕上がっているという。 デザインやインテリアの質感、そして走る・曲がる・止まるといった基本性能に関しては、短時間の試乗ではただただ、感心するほかなかった。この日ふれたパフォーマンスは、コンチネンタルGTの氷山の一角に過ぎないだろうと思わせるほど、奥行きの深さを感じさせるクルマだった。
文・サトータケシ 写真・安井宏充(Weekend.) 編集・稲垣邦康(GQ)