【5大商社・中間決算】三菱商事が成長資金確保、住友商事は見通しに不透明感か… 半期決算で見えた課題
総合商社主要5社の中間決算が出そろいました。純利益では、5社中3社が前年同期比で減少していますが、進捗率45%の三井物産が下期の事業売却に目途をつけ、むしろ通期見通しとの関係では上方修正するなど、通期予想との関係では各社とも概ね順調です。 【全画像をみる】【5大商社・中間決算】三菱商事が成長資金確保、住友商事は見通しに不透明感か… 半期決算で見えた課題 しかし、各社の業績の内訳を個別事業でみていくと、期初と比較した業績見通しの修正も多々見られ、総合商社をめぐる事業環境が激変のさなかにあることがうかがえます。 三菱商事が虎視眈々と事業ポートフォリオの入れ替えに着手する一方、住友商事が事業の不確実性を払拭できす、明確な成長シナリオを示すことができないなど、既に次の局面に向けた各社の采配が試される段階に差し掛かっていることが分かります。
【三井物産】事業売却に目処がつき200億円の上方修正
三井物産の2025年3月期半期決算は、純利益ベースで4118億円(前年同期比9.7%減)となりました。進捗率としては低い数字がでているものの、エネルギーセグメントではLNG関連ビジネスの先行きを折り込むほか(+400億円)、機械・インフラセグメント(+100億円)、次世代機能推進セグメント(+300億円)での事業売却益を反映して、全社ベースでの通期予想を200億円上方修正し、9200億円としました。一方で、鉄鉱石、原料炭の市況の影響を受け、金属資源セグメントの純利益予想を300億円下方修正するなど、セグメントによっては業績の変調も見受けられます。
【三菱商事】大胆な資産の入れ替えに着手
三菱商事は、純利益ベースで6181億円(前年同期比32.6%増)、通期予想との比較で進捗率65%となりました。 豪州原料炭事業の売却益(900億円)、日本KFCホールディングスの売却益(205億円)といった事業売却による利益の計上が利益を押しあげました。今後はこうした積極的な事業売却で確保したキャッシュの再投資先が注目される展開になってきています。 なお、資産・事業リサイクル関連の利益で最も金額が大きなものは、ローソン持分法適用会社化に伴う再評価益(1225億円)ですが、これはノンキャッシュの利益計上であることに注意が必要です。専門的内容になりますが、ローソンに対する資本政策の変更は利益計上を狙ったものというよりは、資産効率の向上を狙ったものと理解した方がよさそうです。 2024年2月期末時点でローソンの総資産は2.3兆円でしたので、これが持分相当(50%)の連結となることで、三菱商事全体としてのROA(総資産利益率)を上昇させる効果が期待できるのです。