「中間管理職は教師もツライ」給与に見合わない“責任”に新人教師の指導…35歳、中堅教員が直面する3つの変化
問題児の対応は経験がすべてじゃない?
ミズノさんが苦労しているのは、新人指導だけではない。豊富な経験を買われ、対応が難しい児童や保護者のいるクラスの担任を任されているのだ。これが、35歳教員が経験する2つ目の変化だ。 校長や教頭からしたら、当然2、3年目の教員よりも、ミズノさんのような10年以上の経験がある職員に任せるほうが安心できると考えるだろう。しかしこの判断に、認識のズレがあるとミズノさんは指摘する。 「私としては経験がすべてではないと思っています。児童との相性で、指導のしやすさは変わってきます。 例えば、若い先生のほうが児童と世代が近いため、話しやすかったり話が合ったりするケースも少なくない。また、任される仕事が多くない分、昼休みなどの時間に子どもたちと一緒に遊んで関係を深めることもできます。 体力面でも、中堅やベテランよりも優位。結果的に、問題児への対応も、若い先生のほうがうまくいったりします。その逆で、中堅職員が担任することで、児童との関係が悪化してしまうこともあるのです」 たしかに自らの学生時代を思い出してみても、より感覚が近い若い先生のほうが話しやすいと感じた覚えのある人も少なくないのではないだろうか。 また、指導困難な児童は、何らかの理由で保護者からの愛情を十分に受けられていないこともある。 「若い先生にしかできない関わり方がその子を変えることもあります。教員の年齢だけで役割の軽重をつけるのは考えものだと感じることが多々ありますね」とミズノさんは語る。 そんな中、近年では、「学年担任制」を採択する学校が増えている。1人の教員が1クラスを担当する従来の担任制とは異なり、複数の教員がチームとなって学年の児童を指導するという体制だ。 実際、ミズノさんの学校でも実施されており、「この制度は、生徒指導に不慣れな若手を助けている上、中堅職員の負担を減らしていると感じる」と話すが、その一方でひとりひとりの子どもとじっくりと向き合う時間が減るなどのデメリットも感じているようだ。