あなたは気づいてる?部下が上司に抱く不満8選 部下は上司への不満を言わないまま辞めていく
また、IT業を営むN氏から思うように売上を伸ばせないと相談を受けたときの話です。 社員が離職して定着しないので新規の仕事が受けられず、売上を伸ばせないとのこと。社員が次々に離職する理由を聞くと、N氏はこう話されました。 「仕事ができない社員を採用してしまうことが多くて、仕事を任せてもついてこれないんです。それで嫌になっちゃうんでしょうね」 この話を聞いてN氏の側に問題がありそうだと思い、社員たちにヒアリングする機会をいただいたところ、やはりこういった話が聞かれました。
「社長は頭の回転も速いし、デキる人なんですが、無茶ぶりがひどいです」 「どんどん仕事を取ってくるんですが、詳細な説明はないまま丸投げですね。その辺の指示が雑なので、仕事が進めづらくて困ってます」 「社長はほぼ会社にいないので聞きたいことも聞けず、お客様に探り探り聞いて何とか仕事をこなしてます。やったことない仕事も平気で取ってくるので怖いですよ」 N氏はとても頭の回転が速く、少し説明されれば仕事の要領をつかんですぐにできてしまう人でした。そのため、その感覚を部下にも当てはめ、仕事の進め方をいちいち教えなくてもわかるだろうと思い、十分な指示もなく丸投げしていたわけです。
しかし、N氏ほど優秀ではない部下はそれでは仕事が進められず、仕事についていけなくなり、離職していました。そこでN氏にこうお伝えしました。 「部下が仕事ができないのではなく、あなたができすぎるんです。できすぎるから普通の人の感覚がわからないまま仕事を任せて、部下がついてこられなくて辞めてるんです。 なので、部下がどういった感覚で仕事をしているかをよく理解して、じっくり部下を育てて、マニュアルも整備しましょう。それで人が成長した分だけ仕事も増やせて、売上を伸ばしていけるようになりますから」
その後、N氏はしばらく部下の育成とマニュアルの整備、組織体制作りに専念しました。それによって部下が仕事を進めやすくなり、離職者が減り、組織が成長した結果、今は堅調に売上を伸ばしておられます。 ■離職を防ぐために部下が抱く不満に気づく 今は人手不足の会社が多く、部下の離職を防ぐことは重要なテーマです。 離職を防ぐには、部下の不満を把握し、その不満を解消することが求められます。 ただ、上司に対する不満は、部下は上司になかなか話せないものです。
ですので、上記の8つについてご自身の状況を振り返っていただき、部下からの不満を少しでも減らすようにお役立ていただければと思います。
藤田 耕司 :経営心理士、税理士、心理カウンセラー