心を揺さぶる、声の饗宴「スプーンの盾」声優・山口勝平と諏訪部順一が語る、観客の想像の翼を広げる“生”の力
――このVOICARIONシリーズでは、例えば役者と役の年齢がだいぶ離れていたり、先輩役者が若い役を、後輩役者が年長者の役を演じるなど立場が逆転したり…時には女性キャストが男性の役を演じることも珍しくないですからね。 諏訪部 「『このメンバーで演じると、どんな雰囲気になるのだろう?』と、想像するのはとても楽しいですよね」 山口 「それに同じ台本で演じていても、出演者によって芝居の方向性や役の印象が全然違いますから」 諏訪部 「まさに『競演』。お客さまには、可能であればぜひ複数食べ比べしてみていただきたいです。そしてその中から、ご自身なりのベストキャスティングを考える…そんな楽しみ方も、この公演はできると思います」
演者も思わず聴き入ってしまう、豪華すぎる“日替わりメニュー”
――まさに、すごく豪華な日替わりメニューですね。 山口 「どの回に行こうか、迷っちゃうよね」 諏訪部 「『あの人とこの人が、同じ役!?』という面白さもありますからね。それこそ、安元くんと、男性声優界屈指のハイトーンボイスである村瀬歩くんが同じ役を演じますから(笑)」 ――声質的にも、普段のアニメの仕事では、同じ役のオーディションを受けることはまずなさそうなお二人です。 山口 「それを言うなら、ナポレオン役もそう。僕と大塚明夫さんが同じナポレオンを演じるなんて。『声も芝居も、全然違うでしょ!?』と、思わずツッコミたくなります」 諏訪部 「だからこそ、同じ作品でも公演回によって味わいが異なるんですよね」 山口 「僕は基本的にナポレオン役を演じることが多いんですけど、なぜか毎年1ステージだけカレームを演じているんです。特に23年の公演では、まず何ステージかナポレオンを演じてきて、最後の方にカレームを演じる日があって。ということは、ほぼ全キャストが演じるカレームを見た後に自分でも演じることになるので、すごくハードルが上がりました」 諏訪部 「(笑)」 山口 「まるでどの手段も、すでに手が付けられているみたいな状態(笑)。まあ、それも含めて楽しいんですけどね。あとは、共演者のお芝居を、じっくり見られるのもうれしいです」 諏訪部 「先輩、同輩、後輩たちとの掛け合いは、とてもエキサイティングな時間ですよね。特に先輩方との共演はシビレます」 山口 「自分も出演している身ではあるんですけど、みんな声がいいから、つい聴きほれちゃうんですよ。さらに音楽の生演奏も相まって、気持ちよくなっちゃうんです」 諏訪部 「聴き入ってしまうと自分の出番を忘れそうになるので危険です(笑)」 山口 「小野D(小野大輔)の声なんて、『声もハンサムだな~』とか思いながらつい聴き入ってしまいます」 諏訪部 「井上和彦さんや山寺宏一さんをはじめ、耳を奪われてしまうようなイイ声の方がたくさんいらっしゃいますからね」 山口 「いや、諏訪部くんもだけどね!?」 諏訪部 「恐縮です(笑)。推しの演者さんがいる方にとっては、その方が出演する回が『ベスト』だと思うのですが、この作品そのものもお気に召していただけたのであれば、別キャストの回もぜひ」 山口 「1ステージしか出演されない方もいますしね。それでも、たった1ステージのためにちゃんと衣装を制作するのがすごいなぁって…」 諏訪部 「本当に、ぜいたくですよね。コスパ悪い舞台です(笑)」 山口 「あはは!」