「二代目社長の氏名と就任年月は?」…社内外から何でも聞かれる総務部。“しごでき総務”なら「答えられて当然」の情報とは?
担当業務に関連する幅広い知識
企業活動全体を理解したうえで実務知識を駆使して遅滞なく仕事を遂行するには、業務に関連する幅広い知識も必要になります。法的知識はもちろん、担当業務に精通し、自分の判断で処理できるようになるにつれ、さらなるプロとしてのパフォーマンスの発揮のために応用知識や専門知識の掘り下げも必要になってきます。 例えば、株主総会の運営準備を進めるにあたっては、法律や定款に関わる知識が求められます。したがって、定款や株主総会に関する会社法の規定には目を通して、自分なりに理解しておくことは担当者として当然です。 「そういう決まりだから」という先輩の教えに従って法定事項を処理しているよりも、自分で確かめ、身につけた知識で仕事をすることは業務スキルの向上にもつながります。 あわせて、株主代表訴訟や利益供与の禁止などについても担当者としての知識として身につけておけば、より企業活動全体の視点から業務を理解できるようになります。 このように、担当業務に関連する法律についての基本的な知識を身につけておくべきですし、法改正の動きがあれば、改正内容や施行日などをきちんと把握しておかなければなりません。 このほか、他社や業界の動向などについても情報収集に努め、新しい動きや制度、技法などを業務関連知識として身につけ、担当業務に応用していくことも必要です。
デジタルリテラシー
業務の効率化を図る手段として、特にデジタルスキルの活用が重要です。総務業務のDX化は急速に進み、社内通達や会議等はオンラインが普通になり、社内の規程集はデータベース化され、「紙」による社内資料は過去の遺物になりつつあります。 もはやITが使えなければ、仕事ができないといわれるほどですが、業務のデジタル化で必要なのはパソコンの操作スキルだけではなく、デジタルリテラシーの向上です。 それには総務部員もリスキリングにより、DXスキルの向上を図っていかなければなりません。 例えば、用度品管理ではコスト削減に意識が向きがちですが、どんなもの、いつ、どれほどの量を使うかは業務効率にも大きく影響します。これを経験則ではなく、過去の情報を読み込んだAIを活用すれば、費用対効果を考慮した適切解が求められるようになります。 総務部の業務改善という視点からのデジタルリテラシーの向上は必然だといえるでしょう。 下條 一郎 元「月刊総務」代表兼編集長。東京都立九段高校、立命館大学文学部卒業後、株式会社池田書店入社。同社で書籍や雑誌の編集等を経た後「月刊総務」の出版権を引き継ぎ独立、株式会社現代経営研究会を創業。同誌を日本唯一の総務専門誌に育て上げる。同誌発行の傍ら、総務実務等のセミナー講師、経営やビジネス実務に関する勉強会を主宰。上場企業経営者をはじめ著名作家、大学教授、メディア関係者等多彩な人的ネットワークを持つ。総務およびビジネスマナー等ビジネス実務に関する書籍を多数執筆。
下條 一郎