大相撲九州場所11日目、大関の琴櫻と豊昇龍、平幕の隆の勝が1敗。新大関・大の里は4敗。ご当地力士の平戸海は宇良と3番相撲を取り、館内大声援
2024年11月10日、大相撲九州場所が福岡国際センターで初日を迎えた。『婦人公論』愛読者で相撲をこよなく愛する「しろぼしマーサ」が今場所もテレビ観戦記を綴ります。 * * * * * * * ◆琴櫻、豊昇龍、隆の勝が強みを発揮 横綱・照ノ富士休場の大相撲九州場所は、11日目まで、1敗をキープした大関の琴櫻と豊昇龍、前頭6枚目・隆の勝が、それぞれの強みを発揮して盛り上げている。 初優勝を目指す琴櫻、2回目の優勝を狙う豊昇龍、今年の名古屋場所で照ノ富士と優勝決定戦をして敗れた隆の勝、九州場所で賜杯を手にするのは…と言いたいところだが、まだ4日あり、何が起きるかわからない。 2敗はおらず、3敗は平幕の若隆景、阿炎、豪ノ山、阿武剋、尊富士の5人。 先場所優勝して大関になり、連覇と高速で横綱になる期待がもたれている大の里は、11日目に隆の勝に敗れて4敗となった。 11日目の正面解説の琴風さん(元大関・琴風)は、「僕から見ると(琴櫻は)優しくて、人間的に良い人なのですが、土俵ではそうなっちゃいけない。『鬼になってくれ』と言っています。今場所は鬼になっています」と話していた。 向正面解説の立浪親方(元小結・旭豊)は、豊昇龍について「負けない相撲を取れるようになってきた」と言っていた。 大の里は、先場所、対戦相手を前進力で土俵から追い出していたが、11日目はこれまで以上に「俺には激突しかないのだ!」と言わんばかりに早めに仕切り、隆の勝の警戒は増大したはずだ。結果は隆の勝が左に変化し、大の里は負けた。相手に悟られないようにするポーカーフェイスというのがあるが、大の里はポーカー仕切りができないだろうか。
◆これぞ大相撲の醍醐味 11日目は、これぞ大相撲の醍醐味、という熱戦が繰り広げられた。 前頭筆頭・平戸海は、長崎県平戸市出身のご当地力士で、連日観客の応援が盛大だが、10日目まで1勝。対戦相手の人気の前頭2枚目・宇良は2勝。2人とも連日、必死に相撲を取っているが勝ち星につながらない。 ところが11日目は3回も相撲を取り、館内は超大声援となった。本割も取り直しの1回目も2回目も、誰が見ても負けが同時。2回目の取り直しで、宇良が平戸海を押し倒した。力士たちは「1日1番、集中して」とインタビューで良く言うが、1日3番も相撲を取った。 琴風さんは、「成績が上がってなくても前向きな相撲。お客さんは喜びますよ」と二人を褒めた。立浪親方は桝席の中の放送席にいて、「皆さん納得の拍手でしたよ。星があがってない中で魅せましたね」と二人を称えていた。