Jリーグ開幕から20年を経て泥沼に陥った混迷時代。ビジネスマン村井満が必要とされた理由
「Jリーグ成人おめでとう、頭は赤ちゃんのままだね」
そんな議論の只中にあったタイミングで、2ステージ制はメディアにすっぱ抜かれてしまう。以下、2013年5月15日、「朝日新聞」東京版の記事から引用。 《Jリーグが来季、2ステージ制を10季ぶりに復活させる方針であることが14日、朝日新聞の取材で分かった。この日行われたJ1実行委員会で、シーズンを第1、第2ステージに分け、それぞれの優勝チームが対戦するチャンピオンシップ(CS)で年間王者を決める来季の日程案をリーグ側が提示した。6月のJ1、J2合同実行委で導入の可否を議論する。》 記事の中にもあるように、当初、2ステージ制は2014年での導入が検討されていた。しかし、議論の過程で制度上の不備が見つかり、結果として翌15年での導入に持ち越されることとなる。注目したいのが、この記事が紙面を飾った2013年5月15日という日付。何とも間の悪いことに、1993年5月15日にJリーグが開幕して、ちょうど20周年のタイミングであった。 こうした重要な案件が、密室で決められようとしていることに、ファン・サポーターが不信感を募らせるのは当然であった。やがて、Jリーグへの異議申し立てを表明する横断幕が、スタジアムやJFAハウス近辺で展開されてゆく。その急先鋒に立っていたのが、浦和レッズのサポーター。5月26日、3万4021人の観客を集めた国立競技場で、このような横断幕が浦和のゴール裏から掲出された。 「Jリーグ成人おめでとう、頭は赤ちゃんのままだね」 「世界基準からかけ離れた2ステージ制、そこに日本サッカーの未来はあるの?」 サポーターのファナティックな気質と影響力の大きさゆえに、浦和にはアンチも少なくない。しかし、この時ばかりは浦和サポーターの主張への共感が、クラブの垣根を越えて広まっていく。これに対してJリーグは、中西がメディアに登場しては「なぜ2ステージ制なのか」を説いていたが、最後まで説明不足のそしりを免まぬがれることはなかった。 結局、9月17日の理事会にて、Jリーグは2015年からの2ステージ制導入を決定。ファン・サポーターの間に、急速に無力感と失望感が広がっていった。