AI機能を先取りすべく「Copilot+ PC」でInsider Previewビルドを導入
■ Insider Previewビルドを素直に導入する 先週は「Hyper-V」による仮想環境でNPUを動かせなかったため、今週はデュアルブートでInsider Previewビルドと通常環境を共存させる作戦を紹介しよう、と思っていた。公開されたISOを使えばすぐできるだろうと考えたのだ。 【画像】[Windows Update]の項目に[Windows Insider Program]の設定がある ところが「Surface Laptop 13.8インチ(第7世代)」で試してみると、デュアルブートのためのSSDのパーティション縮小ができない、ISOの中にWi-Fiモジュールのドライバが含まれていない、USBメモリやSSDを用意して「Rufus」(Arm版がある!)でWindows To Goオプションを使うもエラーで起動せず、などなど問題が噴出。1日がかりで取り組んでも光明が見えないので、諦めることにした。 こうなると、通常環境を諦めてInsider Previewビルドを導入するしかない。やむなく「Copilot+ PC」をInsider Previewビルド環境へと移行することにした。今回はその手順を紹介する。 ■ Windows Insider Previewへの参加手順 Windows Insider Previewを利用するには、まずWindows Insider Programへの参加登録が必要。公式サイトで登録の手続きを行う。ハードウェアではなくMicrosoft アカウントで登録するため、x64/86版Windows(10を含む)で参加手続きをしたことがある場合は不要だ。筆者はこのパターンであった。 登録が済んだら、Windowsの「設定」アプリで[Windows Update]から、[Windows Insider Program]を選択する。 続いて[Windows Insider Programに参加する]で[使用を開始する]をクリック。 「インサイダー プログラムに参加するために、オプションの診断データを有効化してください。」という警告が出ている場合、その右にある[診断を開く&フィードバック]をクリックし、[オプションの診断データを送信する]をONにする。 ここからがWindows Insider Program参加プロセスとなる。まずWindows Insiderアカウントへの紐づけを行う。あらかじめ参加登録したMicrosoft アカウントを選べばいい。 次にInsiderチャネルを選択する。Insider Previewビルドでは、どこまで先の要素を使用するかによって複数の段階に分けられている。最先端の要素を使用できるCanaryから、Dev、ベータ、リリースプレビューが選択可能だ。 「それならCanaryを使いたい」と思うかもしれないが、先の要素ほどテストが十分に行われていない状態の新要素が提供されるため、動作が不安定になる可能性が高まる。推奨はベータチャネルとされているので、筆者は今回これに従った。なお利用契約(英文)やプライバシーの説明もあるので目を通しておくといい。 ステップの最後は再起動。あとは待つのみだ。 再起動したら、再び[Windows Insider Program]を確認してみよう。メニュー構成が変化しており、[Insider設定を選択してください]という項目に、「Beta」の文字がある。無事にベータチャネルでInsider Previewビルドを導入できた証だ。なおここから別のチャネルに変更もできる。 この後、改めてWindows Updateを実行してアップデートがないかを確認するとともに、「Microsoft Store」アプリを起動して、アプリを最新版に更新しよう。今回であれば、「ペイント」や「フォト」といったアプリが更新され、新たなAI機能を試せるようになる。 ■ もちろんデメリットもある 以上でInsider Previewビルドの導入作業は完了だ。注意点としては、いったんInsider Previewビルドにすると、通常環境に再変更はできない。リリースプレビューなら商用にもお勧めとされているが、ベータチャネルからリリースプレビューに変更はできない。 さらに、[Insider設定を選択してください]の項目を開いて、うっかりDevやCanaryの先行チャネルをクリックすると、すぐさま変更が入り、ベータチャネルにも戻れなくなってしまう。どうしても通常環境や安定チャネルに移行したい場合は、Windowsの再インストールが必要になる。 またメーカー製PCの場合(現状の「Copilot+ PC」は全てそうだ)、Insider Previewビルドはサポート対象外となるだろう。あくまで自己責任で対応できる方だけが選ぶものである、ということは忘れないようにしたい。 著者プロフィール:石田賀津男(いしだ かつお) 1977年生まれ、滋賀県出身 ゲーム専門誌『GAME Watch』(インプレス)の記者を経てフリージャーナリスト。ゲーム等のエンターテイメントと、PC・スマホ・ネットワーク等のIT系にまたがる分野を中心に幅広く執筆中。1990年代からのオンラインゲーマー。窓の杜では連載『初月100円! オススメGame Pass作品』、『週末ゲーム』などを執筆。 ・著者Webサイト:https://ougi.net/
窓の杜,石田 賀津男